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油脂生産を石油由来からバイオマス由来へ 新種の酵母発見

理化学研究所、明治薬科大学、龍谷大学、京都大学の研究チームは、バイオマス由来の発酵原料糖の主成分を成す2種類の糖から、効率よく油脂を生産する新種の酵母を発見した。これまで石油から製造していた油脂をバイオマス由来に転換でき、低炭素社会の実現に貢献できるという。

理研バイオリソース研究センター微生物材料開発室事業推進ユニットの高島昌子ユニットリーダーと、明治薬科大学微生物学研究室杉田隆教授らによって構成される同研究グループは、沖縄県西表島いりおもてじまと北海道利尻島りしりとうの植物と土壌から1021株の酵母を分離。この酵母を、バイオマス由来の発酵原料糖に多く含まれるグルコースとキシロースを主な炭素源とする培地で培養した。その結果、グルコースとキシロースを同時に取り込み、効率的に油脂を生産する酵母3株を発見した。

これまでは、酵母はグルコースとキシロースの両方が存在する場合、グルコースを優先的に取り込むため、キシロースの利用効率が低く生産に時間がかかっていた。しかし、今回発見された酵母はグルコースとキシロースをほぼ同時に取り込むため、油脂の生産性が高いことが明らかになった。発見された酵母は採取地である西表島の名前から「Cystobasidium iriomotense」と名付けられた。

油脂は食品、医薬品などの原料として、化学工業における基幹物質の一つ。現在は石油から科学的に合成されることが多い油脂を、低炭素社会の実現に向け、バイオマスや微生物を活用した生産プロセスへと転換が模索されている。同研究により、油脂製造の原料転換が期待されるとともに、製造プロセスの効率化による消費エネルギーの削減に向けた研究が進むことが期待される。

バイオマス由来の油脂生産を効率化 低炭素社会の実現に期待
画像提供:理化学研究所(冒頭の写真はイメージ)