LED光を使った大容量データ通信技術を実用化 凸版印刷

凸版印刷は15日、発光ダイオード(LED)の光を使って大容量のデータ通信ができる通信機器を使ったソリューションの提供を10月下旬から開始すると発表した。電波が届かない水中や山間部、電波干渉が起こりやすい都市部への活用が期待される。

クオンタムドライブ(沖縄県那覇市)が持つ「光子無線通信」技術と、この技術を適用して電気興業(東京都千代田区)が製造した無線通信機器について、凸版印刷が用途開発と販売をし、3社共同で光子無線通信装置を製品化した。

光子無線通信は、LEDの光を利用してデータ通信をする技術で、人間の目には認識できない速さでLEDの光の強度を高速に変調し、情報を乗せる技術。開発した通信端末はカメラレンズのような送受信機が2つついており、一方は光を発する発光部、もう一方は受光部で、通信をしたい2カ所にこの通信端末を設置し、互いの発光部の先が受信部の位置に合うように設置することで通信ができる。

この通信技術は光を使っており、通信ケーブルや電波が不要となることから、通信ケーブルの設置が難しい河川や道路間での監視カメラや、電波が届かない水中やトンネル内での映像の伝送、電波干渉が多い都心部での通信などに適用できる。日中の明るい屋外でも最大約600mまで通信が可能で、雨の影響もほとんど受けず、4Kなどの高い解像度の動画データも送受信できるという。また、通信先は光が届く範囲に限定できることから、外部から傍受されにくい。

販売に先駆け、実際に西新宿の駅前にある屋外デジタルサイネージ「ユニカビジョン」と、大通りを挟んだ向い側に特設したカフェとの間で通信回線として導入し、今年8月27日~9月2日の期間に映像と音声の伝送をしている。この通信端末は10月16~19日まで開催される「CEATEC JAPAN 2018」(幕張メッセ)で展示され、18日にはセミナー発表される。

凸版印刷、LED光を使った大容量データ通信技術を実用化

画像提供:凸版印刷