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「富富富」に「晴天の霹靂」…実りの秋を彩るブランド米ブーム

「富富富」に「晴天の霹靂」…実りの秋を彩るブランド米ブーム

コシヒカリやササニシキ、あきたこまちなど、日本全国で広く知られる米の有名銘柄に加えて近年、多彩なネーミングのブランド米がブームだ。新たなブランド米が生まれるようになった背景と、ブランド米の楽しみ方を紹介したい。
 

耕地面積に占める水田率が全国一位の富山県。その富山県から10月11日、新しい米がデビューした。その名も「富富富ふふふ」。富山の水、富山の大地、富山の人が育てたご飯を食べて人々に「ふふふ」と微笑んでもらいたいという思いが込められた米だ

新品種「富富富」の開発がスタートしたのは2003年。ブランド米開発ブームのきっかけとなった背景には、近年急速に進んだ地球温暖化がある。米穀安定供給確保支援機構によると、日本では全国的にコシヒカリが生産され、作付面積のおよそ35.6%を占める。しかし地球温暖化により、生育期に高温障害が発生。コシヒカリの生育適地が北上しているのが現状だ。そのような状況を打開しようと、各県で独自の品種づくりが始まり、日本中でブランド米が発表されるようになった。富山県でも、異常気象に耐えうる強い米を作ろうと始まったのが「富富富」の開発だった。(1)高温に強い(2)背丈が低く倒伏しにくい(3)いもち病に強いという3つの特性をあわせもつ系統を約3000個体から選抜した。いもち病に強い品種は農薬使用量の削減を可能にし、「環境にやさしい米」としてのイメージアップにもつながる。

ブランド米で重要なのは、ブランドとしての品質を保つこと。「富富富」は限られた生産者にしか栽培できないようになっており、この限定された栽培条件がブランド力を担っている。「富富富」以外にも、注目を集めたブランド米が青森県の「青天の霹靂へきれき」だ。ネーミングの奇抜さもさることながら、こちらも栽培に一定の条件を付けることでブランドとして一定の品質を保っている。

ブランド米はただ地球温暖化に対応する品種という位置づけではなく、「OO県産」と出ることによる地域のブランディング、産地の活性化にもつながる。10kgの大袋では消費者も買いづらいということで、2合だけが洗練されたパッケージに包まれた製品も登場している。

日本全国気候風土が異なる産地で生産されたブランド米。この秋、気になるブランド米を選んでみてはいかがだろう。

(写真はイメージ)