外国人労働者の受け入れ拡大 入管法改正がもたらすものとは?
外国人労働者の受け入れ拡大に向け、入国管理法に新たな在留資格を加える改正案が2日、閣議決定されます。就労を前提とする外国人の在留資格は、これまで高度な技能を有する場合に限られていましたが、今回の改正案が通れば単純労働分野において外国人の就労滞在可能となり、今後、外国人労働者が増えていくと考えられます。人手不足解消のために提出された改正案ですが、一方で反発の声も根強く出ています。改正されるポイントは何か、また何が問題視されており、どんな対応策が考えられているのかなどをまとめました。
Q. 入管法とは何か?
A. 入管法の正式名称は「出入国管理及び難民認定法」です。日本に出入国するすべての人の公正な管理、規制をするための法律で、大きく分けて入国・在留に関する規定と、難民に関する規定について書かれています。
Q. 今回の改正で何が変わるのか?
A. 今回の改正で取りざたされているのは外国人の在留資格についてです。現在認められている在留資格に加え、新たに「特定技能1号」「特定技能2号」が加わります。
Q. どのような在留資格があるのか?
A. 現在、外国人に認められている在留資格には様々な種類があります。例えば医療従事者や教育関係者、報道機関、政府関係機関や企業などの研究者といった分野で認められているほか、2012年には「高度人材」に認定されることで在留資格を得ることもできるようになっています。在留資格によって在留期間は異なりますが、基本的には最長5年となっており、新たに導入された高度専門職の2号に該当した場合には無期限での在留が認められています。
Q. 新たに増える在留資格はどのようなものなのか?
A. 「特定技能1号」「特定技能2号」の2つが追加されますが、これまでとの大きな違いは1号では●学歴は不問であり、●その分野で相当程度の知識または技能を有し、●日本語である程度日常会話ができれば取得が可能なことです。一方、2号の資格を取得するためには業所管省庁が定める一定の試験に合格することが必要となります。この場合、取得すれば家族の帯同が許可されるほか、期間更新も可能になります。
Q. 入管法改正はなぜ必要なのか?
A. 日本の人口減少による人手不足が大きな要因です。パーソル総合研究所と中央大学の共同研究によると、2030年までの人手不足の推計値は644万人。これに働く女性を102万人、シニアを163万人、外国人を81万人増やすほか、さらにAI等技術革新で298万人を代替できないと人手不足は解消されない状況です。在留資格はこれまでも複数回改正され、在留資格の項目は増えているものの、直近で加わった高度専門職は「学歴」「職歴」「年収」において高いレベルを求められるなど、取得が困難と言われていました。これに対し、今回の改正では間口を広げようとしています。
Q. 入管法改正が問題視されている点は何か?
A. 「日本人の雇用機会を奪うかもしれない」というのが、よく指摘される懸念点です。他にも下記のようなことが言われています。
・賃金低下に繋がりうる。
・外国人労働者による社会保障制度の利用では、外国に住む家族の医療費も負担することになっているため社会保障負担が増える。
・治安が悪化するかもしれない。
Q, 政府が提唱する対策とは?
A. そもそも外国人労働力を受け入れる業種は、農業や介護、建設など国内で人手不足深刻なところに限定されており、さらに受け入れ拡大を防ぐための措置として、人手不足が解消された業種は受け入れを停止・中止することになっています。
また、不法就労の温床とならないよう、日本から強制送還された自国民の受け入れを拒否した国は制度の対象から外されるほか、難民申請者が不自然に多い国も受け入れを制限するとしています。そして施行から3年後には地方自治体や住民らの意見も踏まえ、再検討することが条件として加わりました。
Q. 今後の流れは?
A. 自民党は10月30日の総務会で改正案を了承しています。11月2日には閣議決定をし、12月10日の臨時国会期末までの成立を目指しています。この法案が通れば来年4月から施行されます。
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