脱プラスチックの波は日本にも スタバ、マックなどが相次いで発表
プラスチック製品の使用を抑えたり、リサイクルする取り組みが日本国内でも相次いでいる。スターバックス コーヒー ジャパンが全店舗でプラスチックストローを撤廃すると発表したほか、日本マクドナルドではプラスチック製おもちゃを再生したトレーの導入を発表した。
脱プラの火付け役、スタバの取り組み日本にも
米コーヒーチェーン大手のスターバックスは今年7月9日、全世界の店舗で2020年末までにプラスチック製ストローを全廃すると発表していた。日本でも今月8日、20年半ばを目標に使い捨てプラスチックストローを段階的に撤廃する方針を発表。2019年春から環境負荷が少ない代替素材のストローをトライアル提供するという。同店は日本国内に1392店舗あり、世界4位の店舗数を持つ。
プラ製おもちゃをトレーに
一方、日本マクドナルドは、今春に回収したプラスチック製おもちゃをリサイクルし、店舗で使用するトレー約10万枚に再生。13日、全国の店舗に導入を開始した。今後も継続して取り組むとしている。
子ども向けメニュー「ハッピーセット」のおまけとして配ったプラスチック製おもちゃを対象に、今年2月23日~5月6日の期間に全国約2900店舗で不要になったものを回収したところ、約127万個が集まった。これを再生工場で細かく砕いて材質ごとに分け、ポリプロピレンを回収して原料ペレットを再生。このリサイクルプラスチックを10%程度使用したトレーを約10万枚製造した。
脱プラの利益を寄付に
プラスチック製品を撤廃するだけでなく、代替の紙袋を有料提供し、利益を環境団体に寄付する動きもある。
これまでも不要な衣類の回収に取り組んできたファストファッション大手H&M日本法人は13日、来月5日からプラスチック製買い物袋を廃止すると発表。代わりに紙製袋を1枚20円で販売し、利益は環境NGO団体のWWFジャパンに寄付するという。
日本企業でもじわり
日本企業でも取り組みが広がりはじめている。
JR四国ホテルズは9日、四国に展開するホテル3店舗で順次プラスチック製ストローを紙製ストローに変更すると発表した。同社では年間約6万8000本を使用してきたが、今月から順次廃止し、2019年3月までに切り替える予定だ。
背景はプラスチックの海洋汚染
背景にあるのは、「マイクロプラスチック」による海洋汚染の深刻さが明らかになり、この数年間で世界的に関心が高まってきたことだ。
海に捨てられたプラスチックごみが劣化して砕けたものが海洋に広く漂っている。このうち、直径0.5mm以下まで砕けたものをマイクロプラスチックと呼ぶ。小さくなったプラスチックは海洋生物がエサと一緒に、あるいはエサと間違えるなどして食べてしまうことがある。動物プランクトンがエサの植物プランクトンと間違えて食べていることも研究で明らかになっており、食物連鎖によって海洋生物全体に汚染が広がる可能性がある。実際に海産物の体内に取り込まれていることも確認されており、すでに人体からも検出されている。
健康への影響は明らかにはなっていないが、ほとんどのプラスチックは自然分解されない素材だ。これまで不可逆的な生産を繰り返してきたものはプラスチックだけではないが、こうした取り組みへの機運の高まりには、「私たちが今後プラスチックを食べないで済むかどうか」がかかっている……とも言えそうだ。
画像提供:©2018 Starbucks Corporation