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日本人は絶対音感が優れているが相対音感が弱い 音楽学生の国際比較

日本人は絶対音感が優れているが相対音感が弱い 音楽学生の国際比較

新潟大学の宮崎謙一名誉教授を中心とした、日本、中国、ポーランド、米国の研究者による国際研究チームは、音楽専攻学生を対象に絶対音感と相対音感の国際比較研究を実施。日本の学生は絶対音感は優れている反面、相対音感が弱いことを明らかにした。研究結果は米国の学術誌『ミュージック・パーセプション』に11月27日付で掲載された。

音楽で用いられる音の高さは、それぞれ決まった音の基本周波数に対応している。このような音の高さを絶対音高と呼び、それをとらえる能力を絶対音感と言う。絶対音感は、楽譜を音にしたり音を楽譜にしたりするのを容易にするなど、音楽活動に有利な能力とされる。これに対して音の流れの中で音の高さを相対的に関連づけて聞く能力を相対音感という。相対音感は音楽を聞くときに、メロディや音符を聞き取る基盤となるもの。

同研究グループは、日本、中国、ポーランド、ドイツ、米国の音楽学生約1000人を対象に、絶対音感と相対音感の能力テストを実施し、結果を比較した。絶対音感テストでは、ピアノの中央音域にあたる5オクターブの範囲の音をランダムに近い順序で出し、参加者は各音の音高名を答えた。相対音感テストは、さまざまに異なる長調で<属和音—主和音—主音—テスト音>の系列を出し、参加者はテスト音が音階の中で占める位置を主音からの音程名や階名で答えた。

研究の結果、日本の音楽大学は6割近くの学生が正確な絶対音感を持っているのに対し、中国では4分の1程度、ポーランドでは1割程度だった。日本は世界的に見て絶対音感を持つ音楽学生が多いことがわかった。これに対し、正確な相対音感を持つ学生の割合は、中国で4分の1程度、ポーランドでは7割を超えるのに対して、日本は1割に達しなかった。また、学生個人の絶対音感と相対音感の正答率を見ると、日本の音楽学生は、絶対音感は優れているが、相対音感が弱いこと、ポーランド・米国では相対音感は優れているが絶対音感が弱いことが明らかになった。

同研究グループは日本が相対音感に関して劣っている理由の背景に、日本独特の社会的状況があるとしている。日本は絶対音感を音楽活動に有利なものとして強調する傾向がある。その背景が幼少期からの絶対音感教育を音楽教室などで広く行う傾向を生み、相対音感的な聞き方の発達を妨げている可能性があるとしている。

(写真はイメージ)