なぜ植物の幹や根は太くなる? 仕組みを分子レベルで解明

なぜ植物の幹や根は太くなる? 仕組みを分子レベルで解明

奈良先端科学技術大学院大学の先端科学技術研究科植物発生シグナル研究室と、フィンランドのヘルシンキ大学、英セインズベリー研究所らの国際共同研究グループは10日、植物の幹や根が太る側方成長を制御する仕組みを、分子レベルで初めて解明した。

植物の成長は、地上や地下方向へ伸びていく「先端成長」と、茎や根などが横方向に肥厚していく「側方成長」がある。今まで、側方成長に関しては肥厚にかかわる細胞分裂がどこでどのように起こるのか、また細胞分裂を制御する仕組みについては解明されていなかった。

同研究グループは維管束いかんそくのモデルであるシロイヌナズナを使い、側方成長における細胞分裂の空間的な分布を調べた。そして、側方成長の肥厚の出発点である前形成層(根の先端にある形成層)での細胞分裂を活性化するPEAR遺伝子群を、世界で初めて発見した。また、PEARタンパク質が細胞間の情報のやり取りを制御し、根の前形成層の細胞分裂を空間的に統御する鍵遺伝子であることを突き止めた。

今回の研究結果は、植物の側方成長を自在に操作する技術の確立につながり、農作物の収量増加やバイオマス生産効率の向上など、食糧やエネルギーの安定供給に貢献できると期待される。

(写真はイメージ)