トキが「野生絶滅」の指定外れる 環境省レッドリスト2019
環境省は、2012年に取りまとめた第4次レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)の改訂版、「環境省レッドリスト2019」を作成したと24日に発表した。最新版では今まで野生絶滅(EX)に指定されていたトキが絶滅危惧IA(CR)となり、絶滅危惧カテゴリーが一つ下げられた。
トキは1981年、佐渡島に生息していた最後の5羽が捕獲されて野生絶滅(EW)となった。2008年から佐渡島で再導入が開始され、2018年10月までに延べ327羽が放鳥された。2012年以降は毎年、野生での巣立ちが確認されており、野生絶滅(EW)の基準を満たさない状況を5年以上にわたって維持しているために、カテゴリーを野生絶滅(EW)から絶滅危惧IA類(CR)に変更する随時見直しが行われていた。
トキはペリカン目トキ科。野生のトキは20世紀初頭まで東アジア一帯に広く生息していたが、乱獲と生息環境の悪化により中国を除く地域で絶滅した。その後、保護活動や野生復帰の取り組みにより、現在は中国
今回のレッドリストの見直しでは、併せてトキだけに寄生するトキウモウダニのカテゴリーが、野生絶滅(EW)から情報不足(DD)に変更された。トキウモウダニは、トキの野生絶滅に伴い野生絶滅(EW)に分類されていた。
環境省版レッドリストは、日本に生息または生育する野生生物について、生物学的観点から個々の種の絶滅のおそれを科学的・客観的に評価し、その結果をリストにまとめたもの。2012年に取りまとめられたリストに対し2015年以降、生息状況の悪化などによりカテゴリー(ランク)の再検討が必要な種について、時期を定めず必要に応じて個別に改訂している。今回の改訂は4回目で、絶滅危惧種は合計3676種となった。
(写真はイメージ)