はやぶさ2が小惑星リュウグウへの接地に成功
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、小惑星探査機「はやぶさ2」が、小惑星リュウグウへの第1回目のタッチダウン(接地)に成功したと発表した。「はやぶさ2」は、小惑星の中心から約20km上空のホームポジションからタッチダウンし、リュウグウの砂や岩などのサンプルを採取する運用を実施した。
「はやぶさ2」から送られてきたデータから、サンプル採取のための「プロジェクタイル」と呼ばれる質量5gの金属製弾丸の発射など、タッチダウンに必要な手順が問題なく実施されたことが確認できた。小惑星へのタッチダウンは、2010年に帰還した「はやぶさ」でも試みられたが、想定通りのタッチダウンを実現できず、今回約9年の歳月を経て初めて成功した。「はやぶさ2」の状態は、現在正常だという。
当初、「はやぶさ2」によるタッチダウンは2018年の10月下旬に予定されていた。しかし、リュウグウの表面には至るところに岩のかたまりがあり、平らで広い場所が確認できなかった。そのため、昨年10月時点では「はやぶさ2」はタッチダウンを行わず、ターゲットマーカを着地予定地点付近に投下したのみだった。ターゲットマーカはほぼ予定通りの場所に降ろすことができ、その後、着地点付近を詳しく調べた上で、L08-E1と呼ばれる領域がタッチダウンを行う場所として絞り込まれた。リュウグウ到着前には100m程度の平らな場所を狙ってタッチダウンしようとしていたが、平らな場所がないためL08-E1の中のわずか直径6mの円の中を狙うことになり、ターゲットマーカーを用いた「ピンポイント・タッチダウン」と呼ばれる方法が試みられることになった。
JAXAの山川宏理事長は、「今回の一連の運用は、『はやぶさ2』のサイエンスチームとエンジニアリングチームの総力を結集し、わずか約6m幅の領域へのピンポイント・タッチダウンを試みた、非常にチャレンジングな試みでした。2010年に帰還した『はやぶさ』に引き続き、世界で2例目の小惑星天体の表面物質採取に成功することを期待します」とコメントしている。
今後、「はやぶさ2」は衝突装置を使って人工クレータを作り、そのクレータにピンポイント・タッチダウンして地下の物質を採取するミッションを行う。11~12月にはリュウグウに別れを告げ、2020年末には地球へ帰還する予定だ。
タッチダウン直後の画像
画像提供:JAXA, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 千葉工大, 明治大, 会津大, 産総研