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子どもの名前に込められた平成の夢と願い

子どもの名前に込められた平成の夢と願い

特集 平成はこんな時代だった

名前とは、親が子どもに贈る最初のプレゼントともいえる。名前に込められた祈りや願い、祝福は、子どもの人生に大きな意味を持つだろう。時代とともに移り変わる人気の名前のトレンドからは、その時代の世相を垣間見ることもできる。平成の世に生まれた子どもたちの名前をもとに、人々がこの時代に何を思い、何を願ってきたのかを振り返ってみたい。
 

女の子の名前の「子」離れが顕著に

昭和時代に長く人気を博した名前のひとつが「和子」。「昭和」の「和」でもあり、平和を願う意味も込められたこの名前がそうであったように、昭和時代は女の子の名前に「子」をつけるのが主流だった。そんな長い時代を経て、人気の名前ランキング上位10位から「子」のつく名前が消えたのは1986(昭和61)年のこと。前年に最後にランクインしたのは、10位の「裕子」だった(明治安田生命調べ)。

1989(平成元)年に生まれた新生児の数は127万人。明治安田生命の調べによると、この年最も人気の高かった女の子の名前の上位3位は「愛」、「彩」、「美穂」だった。そして1991(平成3)年からトップに躍り出たのが「美咲」。「美咲」はその後も継続して高い人気を誇り、ほぼ常にトップ10にランクインし続けた。このほか平成10年代は「さくら」や「陽菜(おもな読み:ひな)」、平成20年代は「結」の字を使った名前の人気が上昇。ちなみに、東日本大震災が起こった2011(平成23)年には「今年の漢字」に「絆」が選ばれており、人と人との結びつきの大切さが再認識された年とされている。2018(平成30)年の女の子の名前トップ3は「結月」、「結愛」、「結菜」となっている。一方、妊娠・出産・育児情報サイト「たまひよ」の同年のランキングでは、「陽葵(主な読み:ひまり)」、「芽依」、「莉子」が上位に挙がっている。
 

根強い「翔」人気、男女ともに多い「陽」

男の子の名前では、1989(平成元)年に最も多かったのが「翔太」。その後も「翔」の字の人気は根強く、平成10年代になると「大輝」、「大翔」が人気に。2006(平成18)年、皇室・秋篠宮家に悠仁親王が誕生すると、これを反映してか「悠」の字を使った名前の人気が上昇する。そして2018(平成30)年、男の子の名前ランキングのトップ3は「蓮」、「湊」、「大翔」となっている。「たまひよ」の同年のランキングでは「陽翔(主な読み:はると)」、「陽太(主な読み:ひなた)」、「樹(主な読み:いつき)」が人気上位の名前として紹介されている。

名前に使われている字に注目すると、近年、男女ともに人気の高い漢字が「陽」の字だ。男の子の名前では「太」、「晴」といった字も多く使われており、明るい太陽や快晴の空をイメージさせるものが多い。一方、女の子の名前で多く使われている「菜」、「花」、「咲」、そして「桜」や「葵」といった字は、花が開く様子、自然の生命力、新しい時代の芽吹きをイメージさせる。

女の子の名前の「子」離れが進み、キラキラネームと呼ばれる極端に独創的な名前の増加も話題を呼んだ、平成生まれの子どもたちの名前。人気ランキング上位では、明るく前向き、そしてスケールの大きな名前が多く目を引いた。数々の自然災害に見舞われ、社会が目まぐるしく変化を遂げた平成の時代。新しく訪れる時代が、子どもたちの名前にこめられた願いと希望がより多くかなえられる、明るい時代となることを願いたい。

(写真はイメージ)