欧州で2021年からサマータイム廃止へ EU議会が可決
EU議会は26日、EU圏内でのサマータイム(夏時間)切り替えを2021年から廃止することを、圧倒的多数で可決した。同制度がまだ継続される今年は、3月31日未明に欧州時間がサマータイムに切り替わる。独ヴェルト紙などが伝えた。
緯度が高く、夏と冬の日照時間の差が大きい欧州では、3月の最終日曜日に時計の針を1時間進め、10月の最終日曜日に1時間戻すことで、日中時間を有効利用できるよう調整(サマータイム制度)が行われてきた。しかし近年、同制度に対する廃止論議が活性化。昨年、EU加盟国28カ国の市民に対して意見公募(パブリックコメント)が実施され460万人が参加、84%が同制度廃止への希望を表明した。今回、これを受けてのEU議会での議決は賛成410票、反対192票、棄権51票だった。
欧州委員会では当初、サマータイム制度の今年の廃止を提唱していたが、これに代わって2021年までに各国が、夏時間か標準時(冬時間)のどちらかの時間帯を恒常的に選択することになる。ただし、これによって隣り合う国々がバラバラの時間帯を選択して混乱が生じることがないように、調整は必須となる。
一方、1980年からサマータイム制度を導入しているドイツの経済界からは、同制度の廃止によって、時間切り替えに対応している産業システムが支障をきたすリスクが高いとの懸念の声が挙がっており、特に物流や航空業界に大きな影響が出ることが予想されている。
参考記事
欧州サマータイム廃止の意向 460万人の意見公募を受けて(2018/09/03)
欧州でサマータイム廃止論議が活性化 意外に多い反対派の主張とは?(2018/03/27)