世界初、オウサマペンギンの人工授精に成功 希少種繁殖への応用に期待
鴨川シーワールドは2日、オウサマペンギンの人工授精に成功したと発表した。2018年7月に飼育個体から精液を採取して、数羽のメスに人工授精を試み、そのうちの1羽が産卵、2018年9月にふ化した。遺伝子検査の結果、採取した精液を使用した人工授精による誕生だったことが確認された。オウサマペンギンの人工授精での産卵・ふ化は世界初となる。
現在、ヒナは親から口移しで魚をもらい、親と同じ大きさにまで成長している。飼育員の手から餌をもらうトレーニング中で、1日に700gほどを自分で食べ、順調に飼育が続けられているという。今年夏ごろには、ヒナ特有の濃い褐色の柔らかい羽毛から大人の羽に生え変わり、独り立ちをする予定。
オウサマペンギンの精液の採取と人工授精は、米国シーワールドのブッシュガーデンの種保存研究所・ロベック博士及びその研究チームと共同で行われた。希少なペンギンの1種であるオウサマペンギンの繁殖推進につながる貴重な取り組みが成功したことで、この成果により得られた技術と知識が、他の絶滅危惧種を含む鳥類に応用できる可能性が期待される。近年のペンギンの人工授精では、2016年に下関の海響館でフンボルトペンギン、大阪の海遊館でイワトビペンギンの成功例がある。
オウサマペンギンは、南緯45~55度の亜南極圏から南極圏に生息しており、産卵巣を造らずペアが交代で足の上で1つの卵を温めてふ化する。コウテイペンギンに次ぎ2番目に大きい種類で、コウテイペンギンに似た模様がある。
参考記事
ミナミイワトビペンギン、凍結精子で繁殖成功の可能性 大阪・海遊館(2017/06/12)