ベルリンの壁崩壊30周年 歴史を巡る、おすすめスポット3選
30年前の平成元年は、ベルリンの壁が崩壊した年でもあった。40年間分断されていた東西ドイツがこれにより統一へと向かい、冷戦が終結した歴史的な年。今年、30周年を迎えたベルリンでは、これにちなんださまざまな特別イベントが予定されている。分断時代のベルリンに思いを馳せ、当時を追体験するのにおすすめのスポットと併せて紹介する。
目次
1)ベルナウアー通り(Bernauerstr.)
「ある朝目を覚ましたら、家の前にベルリンの壁ができていた」ベルリンの壁が作られ始めた1961年8月13日のベルリン市民の印象は、そんな感じだったらしい。当初は「壁」といっても、おもに有刺鉄線の鉄条網を張りめぐらした簡易なものだったが、これが次第に強固な壁へと発展していく。そんな、日常の中に突如現れたベルリンの壁の異様さを追体験できるスポットがベルナウアー通り。ベルリンを分断していた壁を当時のままに残し、東西両方向から覗けるようにできている。なお、この壁に併設されている「ベルリンの壁ドキュメントセンター」では、ベルリンの壁の詳しい歴史を知ることができる。
https://berliner-mauer-gedenkstaette.de/en/
2)ポツダム広場(Potsdamer Platz)
ベルリン映画祭のメイン会場としても知られる、有名建築家らによる現代的な建物が立ち並ぶエリア。実はこのエリアは、東西分断時代は壁の狭間に位置し、戦争で破壊されたままの荒れ果てた場所として約40年の時を過ごした。今ある姿はほとんどが、東西ドイツ統一後に再開発されたもの。ベルリンの壁もかつての場所に展示されているが、もうひとつの見どころポイントは、地面についている壁の跡を示す
3)イーストサイドギャラリー(East Side Gallery)
1316メートルにおよぶベルリンの壁に、世界各国のアーティストたちが作品を描いた、オープンエアギャラリー。これらはベルリンの壁崩壊後に描かれたものだったが、長年の風雪による劣化を受けて、ベルリンの壁崩壊20周年を迎えた2009年に一度塗り直された。壁の向こう側にはシュプレー川が流れ、その対岸は西ベルリン。ちなみにこの川は東ドイツの領域だったそうで、分断時代に西側の人はここで泳いではいけなかったのだとか。
30周年記念特別イベント
ベルリンの壁が崩壊した11月9日を記念し、今年の11月4日~10日にかけて、ベルリンの壁崩壊に大きな役割を担った市内7つのスポット(ゲッセマネ教会、アレクサンダー広場、宮殿広場、ブランデンブルク門、クーダム、イーストサイドギャラリー、シュタージセンター)で、壁崩壊当時のドキュメンタリー映像などを駆使したサウンド・インスタレーションが予定されている。まさに、ベルリンの街がタイムスリップし、1989~1990年当時を体験できるという趣向だ。
https://www.kulturprojekte.berlin/en/project/30-jahre-friedliche-revolution-mauerfall/
「ベルリンの壁」とは?
1961年~1989年まで境界線として機能した、東西ベルリンを隔てていた壁。第2次世界大戦に敗れたドイツは米国をはじめとした連合軍に分割統治され、1949年に東西2つのドイツ国家が誕生した。東ドイツ領土の中に位置したベルリンの中にはさらに東エリアと西エリアが存在し、当初は両エリアを自由に行き来することが可能だった。しかし、東ドイツから西ドイツへの人口流出が続いたため、東ドイツ当局がこれを阻止する目的で1961年8月13日に壁の建設を開始。1989年11月9日に崩壊するまで、東西ドイツ分断の代名詞的存在となった。
In association with the GNTB/協賛:ドイツ観光局
参考記事
平成が始まった年 冷戦構造が崩壊した1989年(2019/03/26)
参考書籍
「ベルリン―東ドイツをたどる旅」見市 知