平成の災害と「絆」を振り返る 前編
特集 平成はこんな時代だった
平成最後を締めくくる2018年末の「今年の漢字」に選ばれたのは「災」。これに象徴されるように平成の30年間は、日本列島が数多くの自然災害に見舞われた期間だった。予測のつかない自然災害に襲われたとき、それまでの日常は無残に奪い去られ、私たちは大自然の驚異に人間の存在の無力さを見せつけられる。ここでは、平成の30年間に起こった大災害を振り返り、そのことが社会をどのように変え、私たちがそこから何を学んできたのかを見ていきたい。
長期にわたった雲仙普賢岳噴火、火砕流に飲まれた町
平成の最初に起こった自然災害として記憶されているのは、長崎県
震災と津波、火災に見舞われた北海道南西沖地震
1993(平成5)年7月12日、北海道南西沖地震が発生。規模はマグニチュード7.8、最大震度5。日本海観測史上最大級の地震、驚異的な速さと高さの津波、その後の火災と3重の大惨事に遭遇して壊滅的な被害を受けた。震源域が奥尻島や
阪神・淡路大震災とボランティア元年
1995(平成7)年1月17日、阪神・淡路大震災が発生。神戸市を中心とする兵庫県南部でマグニチュード7.3、最大震度7を記録。死者6434人、行方不明3人、負傷者4万3792人、家屋全壊10万4906棟という未曽有の大被害を出した。厚生労働省の調べでは、1995年1月~6月の間に亡くなった人のうち、「窒息・圧死」が77%。被災者の多くが木造家屋などの倒壊が原因で死亡しており、また地震後285件の火災が発生し救出活動の妨げとなったことなども、その後の耐震建築のあり方、防災対策などに大きな教訓を残した。
阪神・淡路大震災の起こったこの年は「ボランティア元年」とも呼ばれている。大都市が壊滅した衝撃的な様子がテレビに映し出され、「何かしなければ」と自然発生的に集まったボランティアの数は延べ137万人に上り、震災ボランティアという助け合いの形を生み出した。
(後編に続く)
【データ資料】
国土交通省気象庁「日本付近で発生したおもな被害地震」
【参考記事】
【特集】「熊本地震」被災日記(1) 前震と本震、熊本地震被災のはじまり(2016/05/23)
福島に柳美里さんを訪ねて(2) 震災と原発事故が作り出した新しい景色(2018/11/30)
(写真はイメージ)