侵略的外来種アナウサギを国内初根絶 石川県七ツ島大島

環境省は21日、石川県輪島市の離島で国指定の鳥獣保護区である七ツ島大島において、外来種のアナウサギを根絶したと発表した。積極的駆除対策の実施によってアナウサギの根絶を達成したのは国内初。アナウサギは、移入先で植生破壊等の悪影響を及ぼすことから、国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれている。

七ツ島大島にアナウサギが人為的に持ち込まれたのは1984年。駆除や植生復元などの保全対策は1990年から約30年行われてきた。アナウサギのピーク時の生息個体数は300匹程度と推測される。穴を掘って生息する習性のために植生破壊や土砂流出を引き起こし、また、同様に巣穴を掘って生息するオオミズナギドリなどの希少な鳥類の生息環境を悪化させた。

これに対し同島では2013年度から空気銃、散弾銃、罠による駆除を年に複数回行う集中的な取り組みによって個体数を減少させた。2016年9月2日にかご罠で捕獲した2個体を最後に、目視でもセンサーカメラでもアナウサギが確認されなくなった。死亡率が高くなる冬を3回越えた2019年4月18日、目視調査及び痕跡確認調査を実施したところ、アナウサギの確認がなかったことから、七ツ島大島においてアナウサギの根絶を達成したと判断した。

アナウサギの食害により裸地となった場所も復元により植生を回復。個体数が少なくなっていたノアザミ、オオヨモギのまとまった群落が確認されるようになった。今後はアナウサギの根絶がオオミズナギドリの個体数にどのように影響を及ぼすかの調査が続けられる。

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