ベルリンの壁崩壊30周年 ザクセン州のとっておきスポット5選
今年ドイツは、東西ドイツ統一への転機となった「ベルリンの壁」崩壊から30周年を迎えます。ベルリン以外のかつての東ドイツ地域には、どんな場所があるのでしょうか。アングロ・サクソンの語源でもあり、旧東ドイツ地域の南部に位置するザクセン州は東西分断以前、経済的、文化的に隆盛を誇った地域で、ディープなドイツの魅力が詰まっています。40年間の社会主義時代を経て今も残っている、ザクセン州の知られざる見どころを紹介します。
目次
(1)ゲルリッツ(Görlitz):19世紀にタイムスリップできる街
橋の向こう側にはポーランドが見える、国境の街ゲルリッツ。かつて、シュレージエン地方の交易路として栄えたこの街は、ドイツの多くの街が第2次世界大戦で破壊された中で奇跡的に戦災を免れました。19世紀当時の面影を残すゲルリッツは、「ザクセン州のプラハ」と呼ばれ、映画のロケ地としても使われています。
アンティークショップや蚤の市を覗いてみると、かつての豊かな市民生活を彩っていた家具調度やマイセンのティーセットなどに出会えます。
ちなみにゲルリッツには毎年、数十万ユーロを寄付し続けている匿名の寄進家がいるのだとか。古き良き時代のノスタルジーに浸れるこの街を愛するファンは多いようです。
(2)バウツェン(Bautzen):ソルブのイースターエッグ文化
ドイツに住むスラブ系少数民族ソルブ人の、中心都市のひとつであるバウツェンには、ソルブ・ミュージアムやソルブ語のラジオ放送局が存在し、街中や駅の標識もドイツ語とソルブ語の2カ国語表記です。
毎年、イースター前に開催されるソルブのイースターエッグ・マーケットでは、ソルブ人の職人による手作業で絵付けされた色とりどりのイースターエッグが一堂に会し、絵付けの実演やワークショップも楽しめます。
イースター当日の名物は、この地方の伝統である「オースターライテン」。正装したソルブ人男性が馬に乗り、隣村を訪ね合うというもので、これはもともと、キリスト教以前の豊穣を祈る春のお祭りだったのだそうです。
(3)プルスニッツ(Pulsnitz):甘い香りただようペッファークーヘンの街
ザクセン州の首都ドレスデンから電車で40分の距離にあるプルスニッツは、人口8000人足らずの街に8軒のペッファークーヘン専門店があるペッファークーヘンの街。
ペッファークーヘンとは、シナモン、カルダモン、アニス、コリアンダーなど9種類の香辛料を入れて焼いたお菓子のこと。日本語では「コショウ菓子」などと訳されることもあるお菓子で、かつてパン屋がパン以外にこのお菓子を焼くには、領主の特別許可が必要だったそうです。
クリスマス前になると、ペッファークーヘン専門店は書き入れ時になります。11月にはペッファークーヘン・マーケットが開かれ、ザクセン州のクリスマスマーケットでは、プルスニッツで作られた専門店のペッファークーヘンの屋台に出会えます。
(4)ツヴィッカウ(Zwickau):知られざる自動車産業の街
ドイツの高級車メーカーのひとつアウディが、ザクセン州にルーツを持っていたことをご存知でしょうか? 東西分断時代の以前、1904年にアウグスト・ホルヒが同地でアウディの前身「ホルヒ」を設立、自動車生産を開始しました。その後、第2次大戦で壊滅的な被害を受けてアウディは西側に移転、バイエルン州のインゴルシュタットを拠点に再出発を切ります。アウディが去った後のツヴィッカウでは、旧東ドイツの国民車と呼ばれたトラバントが生産されました。
ツヴィッカウにあるアウグスト・ホルヒ・ミュージアムでは、ザクセン州の数奇な自動車産業100年の歴史をたどることができる、マニア垂涎の殿堂です。
(5)ザクセンスイス(Sächsische Schweiz):奇岩絶景がそびえるドイツのグランドキャニオン
ドレスデン近郊に広がる不思議な自然風景。白亜紀にまでさかのぼることができるという、奇岩絶景が美しいザクセンスイス国立公園は、カワウソやヤマネなどの希少動物のほか、珍しいシダ類やコケ類などの植物も生息する自然の宝庫です。奇岩の中でも圧巻は、バスタイ橋からのエルベ川の流れを一望できる眺め。
このエリア一帯が現在、ユネスコ世界遺産に申請中なのだそうです。
In association with the GNTB/協賛:ドイツ観光局