東京オリンピックを舞台にした小説ランキング発表 過去と未来を描く
ハイブリッド型総合書店hontoは18日、「東京オリンピックを舞台にした小説ランキング」を発表した。hontoは、ネット書店と、丸善、ジュンク堂書店、文教堂、啓林堂書店などのリアル書店を連携させた総合書店で、大日本印刷が丸善ジュンク堂書店、文教堂、トゥ・ディファクトと共同で運営している。
東京オリンピック・パラリンピックの開幕まで1年余りとなり、東京オリンピックを舞台にした小説について、1964年の「旧オリンピック部門」、2020年(とそれ以降)の「新オリンピック部門」、2つを合わせた「新旧総合部門」の3部門のランキングをまとめた。
旧オリンピック部門では、昭和の東京五輪開催で巻き起こる利権争いを描いた社会派小説『悪の五輪』が1位となった。2位以下には、同じくオリンピックの影を描いた『オリンピックの身代金(上・下)』や、1964年の東京オリンピックの誘致に尽力した人物を描いたノンフィクション『東京にオリンピックを呼んだ男』、オリンピックの東京で働く女性を主人公とした『リスタート! あのオリンピックからはじまったわたしの一歩』などがランクイン。旧オリンピックを舞台にした作品は、当時の時代背景とそこで息づく人々の想いや暮らしがにじむものが多かった。
<旧オリンピック部門トップ5>
1位『悪の五輪』
著者:月村了衛
発売日:2019年5月16日
定価:本体1600円+税
出版社:講談社
2位『おらおらでひとりいぐも』
著者:若竹 千佐子
発売日:2017年11月17日
定価:本体1200円+税
出版社:河出書房新社
3位『オリンピックの身代金(上・下)』
著者:奥田 英朗
発売日:2014年11月14日
定価:本体700円+税
出版社:講談社
4位『リスタート! あのオリンピックからはじまったわたしの一歩』
著者:伊多波 碧
発売日:2019年2月22日
定価:本体1300円+税
出版社:出版芸術社
5位『東京にオリンピックを呼んだ男』
著者:高杉良
発売日:2018年1月25日
定価:本体840円+税
出版社:KADOKAWA
新オリンピック部門では、映画化もされた、吉田修一による青春小説の続編『横道世之介 続』が1位となった。2位の『東京の子』と3位の『団塊の後 三度目の日本』は、2020年以降の東京を舞台に、2020年のオリンピックによってその後の日本がどう変わるのかというテーマが描かれている。また4位には、2060年の未来が舞台の『僕はロボットごしの君に恋をする』がランクイン。新オリンピック部門では、オリンピックを通して日本の未来を考えるきっかけとなる“ポスト五輪”作品が目立った。
<新オリンピック部門トップ5>
1位『横道世之介 続』
著者:吉田修一
発売日:2019年2月21日
定価:本体1600円+税
出版社:中央公論新社
2位『東京の子』
著者:藤井太洋
発売日:2019年2月8日
定価:本体1600円+税
出版社:KADOKAWA
3位『コヨーテの翼』
著者:五十嵐貴久
発売日:2018年12月21日
定価:本体1500円+税
出版社:双葉社
4位『僕はロボットごしの君に恋をする』
著者:山田 悠介
発売日:2017年10月21日
定価:本体1000円+税
出版社:河出書房新社
5位『団塊の後 三度目の日本』
著者:堺屋太一
発売日:2017年4月22日
定価:本体1600円+税
出版社:毎日新聞出版
新旧総合部門トップ10では、上位は新オリンピック部門作品となっているが、旧オリンピック作品も5点ランクインしている。来年の東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに、1964年を振り返る人も多くなるかもしれない。
※いずれもハイブリッド型総合書店honto調べ
本調査は1月1日から5月31日の期間中、hontoにおいて、小説・文学のジャンルのうち「オリンピック」をキーワードにした本の購買冊数を集計した(シリーズ本は冊数合算)。
画像提供:honto(冒頭の写真はイメージ)