プラスチックに含まれる添加剤が海鳥の体内に蓄積される実態が明らかに
東京農工大学の高田秀重教授らは、海鳥が食べたプラスチック片から添加剤である紫外線吸収剤と臭素系難燃剤を検出した。プラスチックには機能性向上のために多種類の添加剤が少量配合されることがあるこうした添加剤がプラスチックから溶出し、海鳥の体内に蓄積する実態が明らかとなった。この研究成果は、海洋汚染専門誌「マリン・ポリューション・ブレティン」2019年8月号に5月18日付で掲載された。
研究グループは今回、北大西洋フェロー諸島のフルマカモメと小笠原諸島のクロアシアホウドリならびにコアホウドリが食べたプラスチック片194個について添加剤の有無と種類の分析を行った。その結果、4種の紫外線吸収剤と2種の臭素系難燃剤をそれぞれ4.6%、2.1%の検出頻度で検出した。つまり、100個のプラスチック片を調べた場合、それぞれおよそ5個、2個のプラスチック片から検出されたということになる。
高田教授らはこれまでに、海鳥が添加剤入りのプラスチックを食べると、添加剤がプラスチックから溶け出し、海鳥の脂肪や肝臓に蓄積することを確認している。今回の結果と併せると、海鳥が1羽当たり15個のプラスチック片を食べると、73%の確率で体組織中に何らかのプラスチック添加剤が蓄積することになる。1羽当たり15個というのは、今回調査した海鳥で実際に検出された数。そして、この数が2倍つまり1羽当たり30個になると添加剤の蓄積確率は90%になる。
今回の調査結果により、これらの添加剤は、海洋を漂流し断片化したプラスチック片に含まれ、海鳥によって更に広く輸送される可能性があることがわかった。プラスチックを介したこの手の輸送は、海洋生物を有害な化学物質に曝す直接的な経路となり得る。
画像提供:Science Direct(冒頭の写真はイメージ)