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楊枝などに使うクロモジに持続的なインフルエンザ増殖抑制効果 信州大

楊枝などに使うクロモジに持続的なインフルエンザ増殖抑制効果 信州大

信州大学学術研究院(農学系)の河原岳志教授と養命酒製造の共同研究グループが、日本の山地に自生するクロモジエキスに持続的なインフルエンザウイルス増殖抑制効果があることを明らかにした。この研究は8月29日発刊の『薬理と治療』に掲載されている。

クロモジとは日本の山地に自生するクスノキ科の植物で、リナロールというリラックス作用が期待されるよい香りを放ち、古くから楊枝や香木、生薬などに利用されてきた。2018年には養命酒製造と愛媛大学医学部附属病院が看護師を対象とした臨床試験で、クロモジエキスを摂取することでインフルエンザ罹患率が低くなることを確認している。今回は同社と信州大学との共同研究により、クロモジエキスがインフルエンザウイルスの増殖を抑制できるタイミングやその効果の持続性を調べた。クロモジの幹枝の熱水抽出物を濃縮して殺菌したクロモジエキスとA型インフルエンザウイルスを用いて実験したところ、ウイルスによって引き起こされる細胞変性を抑制することが示唆された。さらに、クロモジエキスのウイルス完成抑制効果が持続的であることも分かった。

インフルエンザの感染予防には、ワクチンや抗インフルエンザ薬が有効だが、抗原性が変化しやすいため、それらとは異なる作用機序(※)を持つ素材の開発が期待されている。天然物由来の成分には多様な機序による感染抑制作用が報告されている。

今回の研究では、クロモジエキスの摂取がインフルエンザウイルス感染症に対する効果的な予防手段となり得ることを示した。今後は、クロモジエキスに含まれている有効成分や主体における成分濃度、存在期間と作用との関係性、ウイルス増殖抑制作用を説明する分子機構の解明が期待される。

※作用機序…薬剤がその薬理学的効果を発揮するための特異的な生化学的相互作用

(写真はイメージ)