改正水道法が10月1日から施行 インフラ老朽化への対応は急務
水循環に関わる施策を総合的に進めるための改正水道法が、10月1日から施行される。
人口減少に伴う水需要の減少、水道施設の老朽化、人材不足等の課題に対応し、基盤強化を図ることが今回の改正の主眼。改正法では、広域な連携、官民連携のコンセッション方式による効率化を勧めている。懸念されている水質の悪化、料金の高騰、監査モニタリング体制の低下に対しても、自治体の所有権を維持することで監視する方針だ。
高度成長期に集中的に整備された社会インフラは現在、老朽化に向かっており、日本の水道は97.7%の普及率を達成したが、年間2万件を超える漏水・破損事故が発生している。整備にかかる費用は年平均1兆4000億円と言われ、全ての管路を刷新するには130年以上がかかると想定される。国や自治体の財政が厳しい中、維持管理の財政負担が大きくなっている。
日本より30年早く道路や橋梁の整備が進められた米国でも、50年が経過した1970年~80年にかけてインフラの老朽化問題が顕在化した。この問題は、10年間で1兆7千億ドルの投資計画を打ち出す重要政策課題となっている。
一方で、自己治癒型コンクリート、アスファルトの特殊舗装技術などの新素材や、AIを用いた老朽化予測や非破壊検査技術の向上などの新技術に期待が集まっている。運営効率化の面でも、ICT、AIを活用した設備管理や需要予測、メンテナンスコストの削減、人口減少に対応したサスティナブルなスマートシュリンクの実現が目標として掲げられている。
先日の台風15号では千葉県内広域で停電が長期化し、停電に伴う断水も発生するなど、生活におけるインフラの重要性を改めて見直す出来事となった。世界的にも、国連のSDGsの目標の一つとなっている水問題、生活の基盤であるインフラサービスの意味を新たに考える時期に来ているといえるだろう。
(写真はイメージ)