テクノロジーの力で子育て「ベビーテック」【ニュースのコトバ解説】
「ベビーテック」という言葉をご存知でしょうか? ベビーテック(BabyTech)とは、赤ちゃん(baby)と技術(technology)を合わせた造語で、IoT(モノのインターネット)・ICT(情報通信技術)技術をつかって、妊活から就学前までの子育てを助ける商品・サービスの総称として使われています。
ベビーテックは2016年に、毎年アメリカで開催されている電子機器の見本市であるCESにおいて、新しいテクノロジーの分野として紹介されました。以来、ベビーテックの市場は欧米で先行して普及してきましたが、近年は日本国内でもベビーテックの認知が徐々に広がり、該当する製品が増えています。
ベビーテックの意義とは
近年日本では、核家族化や共働き世帯の増加により、各家庭の養育力が低下している問題が指摘されています。育児に関する精神的・身体的・経済的な負担、さらに育児と仕事の両立が困難な職場での働き方など、子育て家庭はさまざまな悩みを抱えています。一方、保育の現場では、10月1日から施行された「幼保無償化」で、保育需要が一層増加することが予想されるなか、子どもたちの安全対策や保育士の業務効率化が急務な課題となっています。
そこで、期待されているのがベビーテックです。テクノロジーを活用して育児や保育の効率化が実現できれば、子育てに関わる人たちに精神的・時間的な余裕が生まれます。また、インターネットを介して子育てに関する問題や情報が広まることで、社会で子育てする意識が作られることが期待されます。
進む、ベビーテック関連の商品開発
ベビーテックに関連する商品やサービスは多数ありますが、その中で日本でも利用が可能なものの中からいくつかを紹介します。
(1)さく乳器母乳アシスト電動「ProPersonal/ProPersonal+/ Pigeon Switch(ピジョンスイッチ)」
母乳育児をサポートする電動搾乳器です。操作は簡単で、おっぱいに当てるだけで自動で搾乳できるというもの。また、専用アプリと連動することで、搾乳・授乳の管理も簡単に行うことができます。スマホを日常的に利用する子育て中の女性が利用しやすい工夫がされています。「BabyTech Award Japan 2019」の授乳と食事部門で大賞を受賞しました。
(2)ルクミー午睡チェック
午睡(お昼寝)中の子どもたちを見守る保育園専用サービスです。保育園内の午睡チェック業務は、0歳児の場合、5分毎に体の向きや顔色、呼吸状況をチェックシートに記録していく必要があり、保育士の業務の中で大きな負担となっています。ルクミー午睡チェックは、ボタン式のセンサーを子どもの肌着や寝巻きに装着してアプリを起動することで、乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息事故の原因となる「うつぶせ寝」や体動を検知し、タブレット端末上の専用アプリに自動記録します。
(3)eggsLAB(エッグスラブ)
不妊治療に力を入れている産婦人科医、杉山力一氏の監修で情報通信のiXIT(イグジット・東京都世田谷区)が運営する生理・排卵/妊活サポートアプリです。専門医監修の健康サポート機能や相談窓口、コラムでの情報発信などで、女性の心と身体の課題解決をサポートします。また、eggsLABは「マタニティマーク」とのコラボレーションで、都営地下鉄でのつり革ジャックを行い「マタニティマーク」の普及促進のサポートも行っています。
ベビーテックによって、子どもの健やかな成長の助けとなり、子育てに関わる人たちの負担が軽減され、インターネットにより子育てに関わる人が増加するなど、子育てしやすい社会がつくられていくことが期待されます。
画像提供:iXIT、ユニファ(冒頭の写真はイメージ)