食事時間の見直しがアレルギー症状緩和の可能性、マウスで確認 山梨大学
山梨大学医学部の中尾教授らは、マウスの実験から食事を摂るタイミングがアレルギー反応の強さに大きく影響することを明らかにした。中尾教授らは、臨床的な経験から食事のタイミングを見直すことでアレルギー症状が緩和できる患者が2割程度いると推測しており、今後、臨床に活かす取り組みが期待される。研究内容は10月14日付で日本アレルギー学会英文誌にオンライン掲載された。
花粉症や喘息、蕁麻疹などのアレルギー疾患は、ある特定の時間帯、特に夜間から明け方に症状が出現しやすいという特徴がある。例えば、花粉症では、朝方にくしゃみ、鼻水などが起こりやすいことが知られており、「モーニングアタック」と呼ばれている。中尾教授らは、以前から体内時計とアレルギー症状が強く現れる時間帯との関係に着目して研究を進めており、今回、体内時計のリズムに影響を与える「食事を摂る時間」とアレルギー反応の出方の関係をマウスの実験で検証した。
食事の時間を変えた3つのグループに対して、アレルギー反応の出方とその時間帯について調べたところ、休息期に食事を与えたマウスのグループでのみ、本来アレルギー症状が出にくい時間帯でも症状が強く現れることが分かった。つまり、不規則な食事のタイミングが体内時計のリズムを変えてしまい、アレルギー反応の症状にも影響を与えることが明らかになった。
中尾教授らは、臨床的な経験から、食事のタイミングを見直すだけでアレルギー症状が緩和できる患者が全体の2割程度はいると推測しており、甲府市や企業と協力して、食事のタイミングと花粉症などのアレルギー症状との関係を、スマートフォンアプリなどを用いて解析する研究を計画中だという。今後、アレルギー症状の改善や治療薬の減量、発作の予防を目指すアレルギー診療への展開が期待される。
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