IUCNレッドリスト絶滅危惧種が3万種超える 気候変動の影響も
IUCN(国際自然保護連合)は10日、絶滅の危機にある世界の野生生物のリスト「レッドリスト」の最新版を公開した。最新のリストで絶滅危惧種とされた種の数は3万178種で、今回初めて3万種を超えた。
今回調査対象となったのは11万2432種。IUCNでは調査対象を、2020年までに16万種まで広げることを目標としている。
今回の更新で世界に分布するユーカリ類全826種が評価され、その約25%が絶滅危惧にあることがわかった。モルッカユーカリをはじめとするユーカリ類はコアラの唯一の餌であるため、ユーカリ類の生息環境の喪失にともなってコアラの個体数も大幅に減少傾向にあるという。
また同リポートでは、気候変動が種の減少に影響していることも指摘されており、オーストラリアの淡水魚種の37%が絶滅危惧にあるが、降雨量の減少や気温の上昇により引き起こされる干ばつの影響を受けていることが分かった。また水温や水流の変化は、侵略的外来種の生息域を拡大させて脅威を増大させている。
その一方で、人工繁殖と野生個体群の管理によって鳥類8種と淡水魚2種の生息状況に改善が見られた。飛ぶことのできないグアムクイナは、外来種のヘビによる捕食が原因で一度は「野生絶滅(EW)」と宣言されたが、35年間にわたる飼育繁殖事業によって「深刻な危機(CR)」まで回復した。
IUCN事務局長代行のグレーテル・アギラー博士は「10種の生物の生息状況の改善の背景にある物語は、わずかでも機会さえ与えられるなら自然は回復する、ということを証明している。私たちは緊急な保全努力の拡大と気候変動を食い止めるため、断固とした行動を必要としている」とコメントしている。
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