地下茎の成長メカニズムを解明 作物生産や雑草防除に期待

地下茎の成長メカニズムを解明 作物生産や雑草防除に期待

東北大学は15日、東北大学大学院生命科学研究科の経塚淳子教授らのグループが、地下で伸びる茎(地下茎)や地表を横に伸びる茎(ほふく茎)につく葉は、土の中を伸びるために特殊化していることを発見したと発表した。特殊化に関しては特定の遺伝子が関与していた。本研究成果は16日、Current Biology誌(電子版)に掲載された。

植物には、ひとつの個体が横方向に伸びる茎と上方に伸びる茎の両方を持つ種類がある。横方向に伸びる地下茎やほふく茎は成長域を大幅に拡大するほか、寒さや乾燥などを地下でやり過ごすことができるなど、旺盛に増殖するうえですぐれた成長様式だといえる。地下茎はドクダミ、スギナなど多くの植物に見られる成長形式だが、これを成り立たせる遺伝的な仕組みは解明されていなかった。

同研究チームは地下茎を持つイネの野生種Oryza longistaminataの解析から、地下茎につく葉は葉身ようしんを持たず、短い葉鞘ようしょうだけからなることを見出した。また葉身が成長しない原因が、BLADE ONPETIOLE(BOP)遺伝子の働きが強くなっているためであると明らかにした。さらに葉身が成長すると、地下茎の先端は十分な強度を発揮できず地下を伸び進めないことや、BOPの作用を調整することによる地下茎やほふく茎の特殊化は種を超えて共通しているということも分かった。

ジャガイモやレンコンなどの地下茎やほふく茎は作物生産やバイオマスとしても重要であり、本研究成果は作物生産や雑草防除への寄与も期待される。

(写真はイメージ)