変わる月経観、若年男性の理解意欲向上など「生理に関する意識調査」
生理用ナプキンを製造・販売する大王製紙(東京都千代田区)は27日、16歳以上の男女624名を対象にした「生理に関する意識調査」の結果を発表した。約9割の女性が生理休暇制度を利用していないことや、10~20代の若年層男性で生理に対しての理解意欲が高いことがわかった。
「生理休暇」とは、生理日の就業が著しく困難な女性が使用者に請求して取得することができる休暇で、労働基準法に定められている。生理休暇を取得したことがあるかの質問(女性対象)では、87.2%が「取得したことがない」と回答した。取得率が低い背景には、鎮痛薬や高性能の生理用品の普及で休暇を必要としない女性が増えたことも考えられるが、取得しなかった理由には「上司が男性だった」(20代女性)、「生理痛は我慢するものという、周りの認識が学生時代からあるから」(20代女性)という回答も見られた。生理について異性と話すことに抵抗があるかという質問(男女対象)では、10代は58.7%が「抵抗あり」、20代以降は約44~51%が「抵抗あり」という結果だった。生理への理解意欲について(男性対象)の質問では、「理解したい、やや理解したい」と答えた人は、10代が67.3%、20代が55.8%という結果となり、30~40代の約48%と比較して若年層では高い傾向にあった。
昨今、生理をテーマにした映画が公開されるなど、生理についてメディアやSNSで話題になることが増えているが、この傾向についての質問(男女対象)では、ポジティブな回答は40~60代以降で約39.0%だったのに対し、10~20代は51.0%以上で、約12.0%の差があった。ポジティブにとらえる理由には「双方向的な意思疎通がしやすくなったりすると思うから」(10代男性)という意見がある一方で、「話題になったことで一気にオープンにさせようと音頭をとる組織や人が現れると、逆に水を差すこともあるのではと心配」(20代女性)という意見も見られた。
今回の結果について歴史社会学者の田中ひかる氏は、「月経観は若い世代を中心に確実に変わりつつある。昨今の生理ムーブメントを経て、今後は、生理にまつわる問題が、個人で解決しなければならない状態から、社会的にフォローしていく方向へとシフトしていくのではないか」とコメントした。
同調査は、16~65歳の男女624名(各年代104名)を対象に2019年12月12日~13日にインターネットによって行われた。
(写真はイメージ)