温州みかんの糖度をAIで予測 高糖度果実の栽培管理を目指す
農業・食品産業技術総合研究機構は6日、JAながさき
高品質な温州みかんを生産する産地では、出荷品質を安定させるため、収穫された果実の糖度や酸度を、出荷時に光センサーによって全数検査している。この膨大なデータを有効活用して、収穫前の早い時期から当該年の糖度や酸度の傾向を予測できれば、高糖度が条件となるブランド果実の割合を高めるために必要な栽培管理ができる。
今回開発した手法は、出荷時の全数検査で得られた前年の糖度と当年の気象データ(気温、降水量、日射量、日照時間)を入力データとし、当年の糖度を予測するもの。前年までに蓄積されたデータを機械学習して、当年の糖度を予測する。学習データの選択により、品種や早生など熟期別の品種・系統ごとの予測ができるうえに、従来の生育初期の糖度と出荷時の糖度との相関から推定する手法などに比べて、誤差が小さくなるのが特徴。2009~2019年の糖度の出荷時検査結果でこの手法を検証したところ、2016~2019年産の温州みかんの出荷時の糖度予測は、測定時と比較して高い精度が得られた。
温州みかんなどの柑橘類は、果実が肥大する時期に乾燥ストレスを受けると果実の糖度が上昇する性質を持っている。糖度を上げるための乾燥ストレス付与はおおむね7月頃に開始されるので、この時点で出荷時の糖度が予測できれば、ストレス付与の強度や時期を調節でき、高糖度果実の生産が可能になる。これまで以上にみかんの品質向上と、生産安定を図る管理に活用できると期待される。
(写真はイメージ)