新型コロナと野生生物の取引市場に関する意識調査を発表 WWF
WWF(世界自然保護基金)は「世界保健デー」にあたる7日、新型コロナウイルス感染と野生生物取引に関する市民の意識調査の結果を公開したと発表した。
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大が進む中、ウイルス感染症の温床として違法または規制が不十分な野生生物市場の危険性が指摘されている。コロナウイルスは、感染した動物と人が接触する場所において、変異することで種の壁を飛び越え人間に感染する可能性がある。そのため、野生生物の取引市場は、この種の感染症が起きやすくなる環境を与えているという。
違法な野生生物取引市場は、多くのアジア諸国、特に、中国国境近くのラオス、ミャンマー、タイといった国々が国境を接するメコン地域のゴールデントライアングルと呼ばれる場所に多く存在している。また日本でも、生きた野生動物の取引市場は「ペット」利用を目的に多数存在している。
同調査は、香港、日本、ミャンマー、タイ、ベトナムから、約1000人ずつ、性別・年齢人口構成に応じ無作為に抽出。3月3日~11日、WWFと調査を委託したGlobeScanがオンラインで行った。
調査の結果、香港、ミャンマー、タイ、ベトナムでは93%の回答者が、違法または規制が不十分な野生生物の取引市場を閉鎖する各政府の政策を「支持する」と回答。さらに79%が、「こうした市場の閉鎖が将来の大規模な感染症発生の予防に有効だと思う」と回答した。日本でも「市場閉鎖は感染症の発生を防ぐ対策として有効」と回答した人が、他の4地域とほぼ同じ割合(72%)で認められたが、「政策を支持する」人の割合は54%と低く、日本とは関係の薄い問題との認識があることがわかった。
WWFは今回の調査結果の発表を機に、特にリスクの高い東南アジアの規制の不十分な野生生物の取引市場閉鎖に向けた各国政府の取り組みを支持していくとしている。また日本については、海外から生きた野生生物が密輸されるエキゾチックペット市場が存在し、そこに感染症のリスクが十分に潜んでいる点を改めて指摘し、改善を促していくとコメントした。
(写真はイメージ)