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福島第一原発の処理水処分、政府と地元関係者で第1回意見聴取会

東京電力(以下、東電)の福島第一原子力発電所(以下、1F)の廃炉で問題になっている多核種除去設備(ALPS)処理水(以下、処理水)に関して、海洋放出もしくは大気放出をした場合に、福島県の地元自治体や農林水産業者をはじめとした幅広い関係者の見解を聞く第1回目の意見聴取会が、福島県で6日に開催された。

1F構内にてタンクに貯蔵されている処理水が2022年に満杯になるため、政府の小委員会が処理法を風評被害も絡めて検討し、「技術的、規制的に海洋放出か大気放出(水蒸気にして放出)が現実的であり、被曝も自然放射線と比較して十分小さい」などの報告書を2月に提出した。この報告書をもとに3月、東電が処理水の処分方法の検討素案を提出した。政府は地元の意見を聞いた上で最終決定をするとし、福島県知事をはじめ、農林水産業者、観光業界など10の団体や組織の代表が意見を述べた。

福島県の内堀雅雄知事は、「1F事故以降、福島県の農林水産業や観光業は根強い風評被害を受けており、処理水の取扱いによっては被害が上乗せされる可能性がある」と述べた。また福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の小井戸理事長は、「告知濃度以下での海洋放出が最も損失の少ない処分案だ」としつつ、「損失は風評被害ではなく実害であり、厳正な補償措置を全期間にわたり求める」と訴えた。福島県市町村会の小椋会長は、「スケジュールありき、福島での処分が前提で議論が進んでいくのではないか」と懸念を示した。

小委員会がまとめた報告書を理解するには、放射線物理や核医学の専門知識が必要となる。復興と廃炉の両立を大原則として進められた廃炉・汚染対策、風評被害対策以前に、処理水の科学的知見や放出処分の安全性、トリチウムなどの放射性核種の人体への影響などについて、地元関係者や国民が理解できるような説明が求められる。

第2回目の意見聴取会は、13日に予定されている。

(写真はイメージ)