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日本はエキゾチックペットの密輸目的地 WWFジャパンが報告書を発表

日本はエキゾチックペットの密輸目的地 WWFジャパンが報告書を発表

世界自然保護基金ジャパン(以下、WWFジャパン)は11日、日本税関の輸入差止記録や国内外のメディア報道をもとに、日本におけるエキゾチックペット取引の動向を分析し、報告書「CROSSING THE RED LINE:日本のエキゾチックペット取引」(野生生物取引監視組織TRAFFIC 2020)にまとめたと発表した。日本は特にアジア地域からの密輸目的地となっている実態が明確に示された。

エキゾチックペットとは、犬と猫以外のペットとして飼育されている特殊動物のこと。日本は長くエキゾチックペットの大量消費国とされ、何百もの絶滅のおそれのある野生動物が国内で売買され、一般家庭で飼育されている。この市場の存在は、国際的なエキゾチックペットの違法取引の誘引となっており、海外からもその動向が注視されてきた。さらに、新型コロナウイルスは野生生物取引市場との関連性が疑われる「動物由来感染症」であり、このような感染症拡大のリスクが高いと考えられるアジアの市場から日本へのエキゾチックペットの密輸が後を絶たない現実が憂慮されている。

今回、WWFジャパンは2007年~2018年の税関の「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(以下、ワシントン条約)掲載種の輸入差止実績を主な情報源として、法執状況を含めた包括的な分析を実施し、その結果を問題解決に向けた提言とともに公表した。

ワシントン条約対象種となっているエキゾチックペットの税関での差し止めは78件、1161匹であった。爬虫はちゅう類が最多で71%、続いて哺乳類19%、鳥類6%。感染症法で輸入が禁止されるサル185匹、コウモリ10匹の東南アジアからの輸入差止も含まれた。輸出国として特定されたのは13の国・地域で、東南アジアが55%(43件)、東アジアが36%(28件)を占めた。国際的なエキゾチックペットの違法取引において、日本は特にアジア地域からの密輸目的地となっている実態が明確に示された。

2007年以降の日本への密輸事件12件で、少なくとも18人の被告人が起訴されており、8件は税関の摘発、4件は警察の捜査によるものであった。一方、海外での報道では、少なくとも28件、1207匹の日本向け密輸事件が確認されている。水際での摘発率が低く、起訴も少ないうえに、刑罰も軽いため再犯が後を絶たない。さらに、税関をすり抜ければ、密輸個体を合法市場でロンダリング(※)できてしまうことも密輸の促進要因となっているという。

報告書では、問題解決のために必要な取り組みとして、法体制の整備をはじめ、野生生物密輸の摘発、立件、処罰の一連の法執行を強化するための政府の強いリーダーシップや関係機関の連携を提言しているほか、ペット関連業界や輸送業界、NGOなど市民セクターが積極的に取り組むべき施策を提示している。

※野生生物のロンダリング:適切な衛生手続きを経ていない野生生物を、合法に入手した個体と偽って販売すること。

(写真はイメージ)