自転車通勤の導入企業6割超え 保険加入は進むか

自転車通勤の導入企業6割超え 保険加入は進むか

新型コロナウィルス感染拡大防止策として、緊急事態宣言の解除後も首都圏を中心に移動制限は続いていたが、東京都は飲食店の営業時間短縮の要請を6月18日で終了することに決定。翌19日からは休業要請などは事実上、全面的に解除され、また首都圏の1都3県や北海道との間の移動も可能になる。

政府が発表した「新しい生活様式」では「三密(密閉、密集、密接)」の回避方法の一つとして、移動時に公共交通機関と徒歩や自転車の併用が示された。健康の維持増進などの目的から、近年、通勤時の自転車利用が注目されていたが、今後さらに都市部を中心に自転車通勤への切り替えは広がるだろう。
 

増える自転車事故と、認知が進まない保険加入義務

自転車利用が増えることで、増加するのが自転車事故だ。警視庁の発表によると、東京都内の自転車事故は2016年には1万417件だったが、2019年には1万1874件となり、増加傾向にあることが分かっている。

自転車利用が増える中、各自治体では自転車保険の加入義務化が進んでいる。すでに以前から加入義務化している自治体はあったが、2019年度には神奈川県、静岡県、長野県、宮城県の4つの自治体で、2020年4月には東京都、奈良県、愛媛県の3つの自治体で義務化されるなど、近年、全国の自治体に広がりつつある。

一方、自転車保険加入の義務化への認知度はどうだろうか。アクトインディ(東京都品川区)は今年4月1日の東京都での施行直前の3月2日~23日に、小学生以下の子どもを持つ全国の保護者699名を対象に、自転車保険に関するアンケート調査を実施した。その結果では、自身の住む自治体での自転車保険の加入義務の有無を把握しているのは約3割だった。残りの7割は、自転車保険を義務化する条例があることを知らないか、知っていても在住自治体で義務化されていることを知らない状況だった。
 

自転車通勤への切り替えが進む

IT企業のWorks Human Intelligenceは2月、4月、5月に同社の取引会社を対象に、各社における新型コロナ対策についてのインターネットアンケート調査を実施している。2020年5月18日~22日にユーザー企業161社を対象として実施した結果を、5月29日に発表した。自転車通勤の許可状況について、「全社、または一部部署で対応している」と回答した企業は、2月では26.0%(146社中38社)だったのが、4月には46.5%(127社中59社)に増え、今回発表した5月分の調査では152社のうち97社と63.8%となっており、明らかに増加傾向にあった。
 

自転車通勤のほかにも、幼稚園や保育園への子どもの送迎や、子どもの習い事への往復など、日常生活において自転車を使う機会は多い。自転車事故では怪我はもちろん、事故による高額な賠償金請求が発生するというリスクもある。自転車事故のリスクを理解し、十分に備えておくことが大切だ。

(写真はイメージ)