日本人の月面着陸に向けた一歩 月探査協力に関する日米共同宣言に署名
文部科学省は10日、文部科学省と米航空宇宙局(NASA)との間で月探査協力に関する共同宣言に署名したと発表した。同省の萩生田光一大臣は「日本人が史上初めて月面に降り立つことに向けて、大きな一歩を踏み出した」と述べた。
日本政府は2019年10月、米国が提案する月周回有人拠点「ゲートウェイ」の整備を含む「アルテミス計画」という国際宇宙探査計画に参画することを宇宙開発戦略本部にて決定した。その後、日米両国の協力内容を具体化すべく同省とNASAとの間で調整を進めてきた。今回の共同宣言でアルテミス計画に対する日本の協力内容を具体化すると共に、ゲートウェイおよび月面における日本人飛行士の活動機会についてその詳細を今後策定する国際約束等で規定することに合意した。
アルテミス計画については、6月29日の宇宙開発戦略本部において、安倍晋三総理大臣は「将来を見据えた技術開発や日本人宇宙飛行士の月面での活動など、新たなフロンティアの開拓に主体的に、かつ果敢に挑戦していく」と意思表明をした。翌30日には新たな宇宙基本計画が決定された。同省はこの計画を踏まえ、アルテミス計画への参画を機会として火星などさらなる深宇宙探査に必要な能力の獲得、日本人宇宙飛行士の活躍機会の確保、H3ロケット及び先進光学衛星の開発、将来の宇宙輸送システム及び挑戦的な先端技術を取り入れた衛星の研究開発、「はやぶさ2」等の宇宙科学・探査や人材育成などに力を入れて取り組むとしている。
アルテミス計画は2024年までに男女1名ずつを月面に送り、2028年までに商業および国際パートナーとの持続可能な月面探査を確立することを目指している。1960年代に行われたアポロ計画では月面に男性しか降り立っていなかったことから、アルテミス計画が成功すれば女性として史上初の月面着陸となる。なお、ギリシャ神話で太陽神のアポロンと月の女神アルテミスは双子の関係だ。
画像提供:Department of State/Stephen Wheeler