東大が協議会を設立 量子コンピューティングのためのエコシステム構築を目指す
東京大学は7月30日、産官学で量子コンピュータの実用化を進める「量子イノベーションイニシアティブ協議会(QII協議会)」を設立したと発表した。戦略的に重要な研究開発活動を強化し、我が国全体のレベルアップと実現の加速化を図り、広く産業に貢献することを目的としている。
同協議会では、量子アプリケーションの開発、量子コンピューターシステム技術開発に加え量子科学の推進と教育を行っていく。併せて、メンバーとの研究成果について公表可能な範囲で積極的に情報交換を行うことにより、世界に先駆けて量子コンピュータの社会実装の実現を目指す。
同協議会には、慶應義塾大学、JSR、DIC、東芝、トヨタ自動車、日本アイ・ビー・エム、日立製作所、みずほフィナンシャルグループ、三菱ケミカル、三菱UFJフィナンシャル・グループが参加予定。さらに参加メンバーを広く募集している。
東京大学の五神真総長は、「Society5.0(*)の実現の鍵はリアルタイムでリアルなデータを活用することだ。量子技術とそれに裏打ちされた量子コンピュータはそのために不可欠な技術だ。QII協議会は量子技術研究とその社会への導入研究を連動させて加速し、量子コンピュータを含む量子技術をSociety5.0にしっかり実装していくことを目指していく」と述べた。
*Society5.0とは
日本政府が策定した「第5期科学技術基本計画」で我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱された概念。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会。狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く新たな社会。
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