JAXA、2021年秋に宇宙飛行士を募集開始 月面着陸に期待
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士である若田光一特別参与は23日、文部科学省において、13年ぶりとなる宇宙飛行士募集について発表した。
前回のJAXAによる宇宙飛行士の募集は2008年に行われ、合計で963名の申し込みがあった。2009年2月に、全日本空輸(ANA)のパイロットであった大西卓哉氏と防衛省航空幕僚監部のパイロットであった油井亀美也氏、同年9月には自衛隊呉病院の医師であった金井宣茂氏の3名が宇宙飛行士候補として採用された。今回の募集はそれ以来13年ぶりとなるもので、日本人として初の月面着陸も期待される。
若田氏は「多くのみなさんが月探査でも活躍できる宇宙飛行士を目指して応募してくださることを期待しています」とコメント。萩生田光一文部科学大臣も、今年7月の米航空宇宙局(NASA)のブライデンスタイン長官との共同宣言で、国際月探査計画「アルテミス計画」での日本人宇宙飛行士の活動機会について合意したことに触れ、「今後大きく展開していく国際宇宙探査において日本人宇宙飛行士として貢献すべく、我こそはと思う方の積極的な応募をお待ちしています」と述べた。
アルテミス計画は大きく3段階に分かれており、「アルテミスⅠ」では地球から月まで無人での飛行試験、「アルテミスⅡ」は2022年に打ち上げ予定の有人飛行試験、そして「アルテミスⅢ」は2024年を目標に進められている有人月面着陸だ。JAXAの定年は60歳のため、2024年の時点では若田氏らは現役ではなくなる。そこで、アルテミス世代の宇宙飛行士の募集が各国で進められている。
一方、2009年に採用された3名が実際に宇宙飛行してISSに滞在したのは、油井氏が2015年7月~12月、大西氏が2016年7月~10月、金井氏が2017年12月~2018年6月だ。このように、宇宙飛行士として採用されてもすぐに宇宙飛行できるわけではない。約1年間の選抜期間を経て、宇宙飛行士候補として合格後、約2年間の基礎訓練を受けて宇宙飛行士として認定される。認定後は宇宙船への搭乗機会が与えられるまでの間、維持・向上訓練を積み、搭乗機会アサイン後は固有ミッションの訓練を行い、搭乗に備えることになる。
なお、これまでのJAXA主体での募集・選抜、訓練とは異なり、今回は民間企業との連携を強化し、企業ノウハウや新しいアイデアを活用することを想定している。民間企業に対して2021年春頃に募集・選抜、訓練に関する提案募集を開始し、夏頃に実施企業の選定を行うという。
画像提供:JAXA(水上サバイバル訓練に参加する野口宇宙飛行士ら)