伊豆諸島と尖閣諸島のアホウドリ、実は別種と判明
北海道大学総合博物館の江田真毅准教授らと山階鳥類研究所の研究グループは、従来同じ種と考えられてきた伊豆諸島鳥島と尖閣諸島のアホウドリが別種であることを調査によって明らかにした。アホウドリは絶滅のおそれがある鳥であり、今後の保全政策は2種に対して実施する必要があると考えられる。19日の「Endangered Species Research」誌オンライン版で発表された。
アホウドリは主に伊豆諸島鳥島と尖閣諸島の2ヶ所で繁殖する大型の海鳥。羽毛の採取のために大量に捕獲され一時期は絶滅したと考えられていたが、1951年には鳥島で、1971年には尖閣諸島でそれぞれ約10羽発見された。その後の保全活動の成果などによって現在は6,000羽以上に回復したと推定される。日本では特別天然記念物や国内希少野生動植物、絶滅危惧II類に指定され、保全の対象になっている。
研究グループは、鳥島にいる「鳥島タイプ」のアホウドリと尖閣諸島から移住してきた「尖閣タイプ」の個体を捕獲して、くちばしの長さや太さ、体重など26項目のデータを計測し、両タイプの形態の差を統計的に比較した。その結果、鳥島タイプのオスは全体的に大きい一方、尖閣タイプのオスは相対的にくちばしが長いことが確認された。今回明らかになった形態的な違いとこれまで知られていた遺伝的・生態的な違いから、両タイプは別種であると結論づけられた。アホウドリのように保全対象種で別種の存在が確認されるケースは非常に珍しいという。両地域のアホウドリの保全に向けてより良い政策が進められることが期待される。
(写真はイメージ)