中国の火星探査機「天問1号」、10日頃に火星接近
中国国家航天局(CNSA)は5日、中国の火星探査機「天問1号(Tianwen-1)」の4度目の軌道修正を行うためエンジンの1つに点火し、火星に向かう正しい軌道を飛行していると発表した。10日頃に火星を周回する軌道に入る予定だという。
天問1号は昨年7月23日に中国・海南省の文昌宇宙発射センターから長征5号ロケットで打ち上げられた惑星探査機。
火星軌道に入った後、2〜3ヶ月かけて高解像度カメラを使って着陸予定地の調査を行い、5月に火星最大の盆地であるユートピア平原(バイキング2号が1976年に着陸)南部に着陸する計画だ。
着陸後、ローバー(探査車)は少なくとも90火星日(地球上で約3か月)の予想寿命で科学探査を実施し、オービター(周回機)は1火星年(地球上で約687日)の設計寿命で軌道上にて独自の科学探査を行いながら、ローバーからの通信を地球へ中継する。
軌道修正に先立ち、天問1号が火星から約220万キロメートルの距離で撮影した最初の火星の白黒写真を公開した。写真にはアキダリア平原、クリュセ平原(バイキング1号が1976年に着陸)、メリディアニ高原(オポチュニティが2004年に着陸)、スキアパレッリ・クレーター、太陽系でも最大規模のマリネリス峡谷などの象徴的な地形がはっきりと見えている。
天問1号はこれまで197日間で約4億6500万キロメートルを飛行。現在、地球から約1億8400万キロメートル離れたところにあり、火星まで約110万キロメートルとなっている。なお、地球と火星の距離は2つの惑星の軌道上の位置にもよるが、5500万から4億キロメートル離れている。
名称の「天問」とは、古代中国の詩人である屈原(紀元前340〜278年頃)が書いた同名の詩に由来しており、CNSAでは「真実と科学を追求し、自然と宇宙の探求」を表しているとしている。
画像提供:中国国家航天局