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新潟大学が世界最小エネルギーでの効率的な水素生成に成功

新潟大学は28日、世界最小のエネルギーで水を酸素と水素に電解することに成功したと発表した。持続可能な脱炭素社会実現のために必要な効率的な水素生成技術として着目される。この研究の成果は、20日付けの国際学術誌「Energy&Environmental Science」誌に掲載された。

この研究は、新潟大学自然科学系の坪ノ内優太特任助教、Zaki N. Zahran(ザキ・ナビホアハメド・ザハラン)特任准教授、八木政行教授らの研究グループによるもの。

水を電気分解する際には水分解の理論電圧1.23Vに加え、酸素発生電極の過電圧(ηO2)と水素発生電極の過電圧(ηH2)に相当するエネルギーが必要となる。過電圧とは実際に必要な電圧と反応の理論電圧との差で、この値が低いほど高効率の電極となる。これまではηO2値が300mV程度と高いのが課題であり、この値を低くする高活性酸素発生触媒の開発が望まれていた。

同グループは酸素発生電極として、窒化炭素に包含された硫化ニッケル(C3N4 / NiSx)ナノワイヤーを使用。これは多孔性ニッケル基板をチオ尿素と共に焼成処理することで、基板上に形成できる。この電極で1.0M水酸化カリウム水溶液中で水電解を行った結果、ηO2=32mVの超低過電圧で水が分解されることを実証した。これは今まで報告されている世界最高水準の酸素発生電極と比較しても格段に低い値である。

この結果は、NiSxナノワイヤーと電解質水溶液の界面にニッケル酸化物(NiO(OH))層が形成されて触媒反応を促進して、基板から活性サイトまでの電子輸送が効果的に進行したためと考えられる。今後、この機構を詳細に研究することで、世界に先駆けて高効率酸素発生触媒の開発ガイドラインが提供可能となる。

同グループは、開発した酸素発生電極を用いて世界最高の太陽光水素生成変換効率を達成し、実用的な太陽光水素生成システムへの道筋をつけることを目指す。

 

多孔性ニッケル基板表面に形成されたNiSx / C3N4ナノワイヤーのイメージ図(左)と透過型電子顕微鏡画像(右)

世界最高水準の酸素発生電極とのηO210値の比較。赤棒は本研究のNiSx / C3N4電極の値を示す。


画像提供:新潟大学(冒頭の写真はイメージ)