オンライン旅行の次はバーチャル空間での観光体験。ANAやJTBが開発

オンライン旅行の次はバーチャル空間での観光体験。ANAやJTBが開発

コロナ禍で旅行に行けない期間が長くなった今、HISやJTB、近畿日本ツーリストなど旅行会社では新しい旅行の一つとして、自宅にいながら旅行気分を味わえるオンラインツアーを展開している。

オンラインツアーは、国内外の現地ガイドが日本語で観光地やグルメをリアルタイムで案内し、ツアー参加者の質問に答えるなど、旅行に行っているような雰囲気が特長だ。価格も無料のツアーや1000円程度のものからあり、またお土産付きのツアーなど種類も豊富で、HISではすでに体験者8万人を超えるなど人気を集めている。

オンライン旅行が定着化する中、ANAやJTBでは、デジタル技術を活用して、さらに一歩進んだ新たな観光サービスを開発している。

JTBの「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」

今年4月にJTB、Fun Japan Communications、FIXERは、XR技術(※)を駆使した仮想空間上にバーチャルな日本をつくり、進化し続ける街や施設に世界中の人々が集い、観光やショッピング、様々なコンテンツを楽しみながら交流を深められる 「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」事業を開始した。

(※)XR技術:VR(バーチャルリアリティ:仮想現実)、AR(オーグメンテッドリアリティ:拡張現実)、MR(ミックストリアリティ:複合現実)等の技術の総称

4月末より段階的にユーザー登録を開始し、まずアジア地域の日本ファンである同社メディア会員125万人のプラットフォームへのユーザー化を図り、その後は順次ユーザーの対象国や地域を増やしてユーザー数拡大を目指すという。

JTBはこのプラットフォームを通じて、仮想空間上の日本を巡る交流・商流・情報流を生み出し、コロナ後の新しいリアルな人流を喚起し、観光産業の回復と地域活性化を図るとしている。

オンライン旅行の次はバーチャル空間での観光体験。ANAやJTBが開発*「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」の紹介動画より抜粋

ANAのバーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」

ANAは5月20日に、ニューノーマル時代における新しい旅の体験価値の創造に向けてバーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」を開発・運営するANA NEO株式会社を設立した。SKY WHALEでは、バーチャル空間における旅行やショッピングなどの消費体験を提供し、スマートフォン、タブレット等各種端末からアクセス可能な旅のプラットフォームとして2022年のサービスローンチを予定している。

オンライン旅行の次はバーチャル空間での観光体験。ANAやJTBが開発

バーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」のイメージ図(提供:ANAホールディングス株式会社)

SKY WHALEは「時空を超える旅客機」をコンセプトとした「Skyパーク」「Skyモール」「Skyビレッジ」という3つのサービスで構成する。

旅のテーマパーク「Skyパーク」では、3DCGによって描かれた世界の都市や絶景スポットを舞台に新しい旅行体験を提供する。「のんびり」「弾丸」など旅の好みを設定し、最大8人で同時にバーチャル旅行を楽しむことができる。また、バーチャルでの旅行体験に合わせた現実の旅行を予約することも可能だ。

バーチャルショッピング空間「Skyモール」では家族・友人などと一緒に自由にモール内を歩き、買い物や各種イベントなどを楽しめる。また未来の街をイメージした空間「Skyビレッジ」ではバーチャルにおけるスマートシティの実現を目指して、バーチャル上での医療・教育・行政などのサービス展開を予定しているという。

オンライン旅行の次はバーチャル空間での観光体験。ANAやJTBが開発Skyパーク(提供:ANAホールディングス)