コンセプトは「世界一低価格で便利」、日本の民間ロケットMOMO7号機が打ち上げ成功
北海道広尾郡大樹町のインターステラテクノロジズ株式会社は3日17時45分、同町にある北海道スペースポートLaunch Complex-0から同社が独自に開発・製造した観測ロケット「ねじのロケット(MOMO7号機)」を打ち上げた。
MOMO7号機は約120秒のエンジンの燃焼の後、4分後に目標高度にわずかに届かない高度99kmに到達し、17時55分に射点より沖合南東方向73kmに着水したと速報した。この数値は暫定値なので、今後の解析により変動する可能性があるという。今回初の取り組みとして、ロケット機体カメラからの様子をリアルタイム配信した。
同社は「誰もが宇宙に手が届く未来をつくる」というビジョンを掲げ、「世界一低価格で、便利なロケット」をコンセプトにロケットを独自開発・製造している。高い内製率や設計・製造・試験・打上げ運用までの一気通貫した開発プロセスによって、従来の観測ロケットに比べて約10分の1の価格を実現した。
2019年5月にMOMO3号機が民間で開発・製造したロケットとして国内初の宇宙到達を達成し、今回も100kmに到達していれば、MOMOシリーズとして二度目の宇宙到達となる。MOMOは高度100kmの宇宙空間に到達した後、その後は自由落下する弾道飛行を行う。この途中、高度40kmから100kmの間は微小重力環境となっており、この約260秒の間は様々な科学実験に活用できる。
MOMO7号機は当初2020年7月に打上げを予定していた。しかし、エンジン点火器の不具合によって打上げ直前に安全装置が作動し、打上げ延期となっていた。また、2020年6月に打ち上げたMOMO5号機は、飛行中のエンジンノズルの破損が原因で飛行中の姿勢が乱れ、安全確保のために緊急停止せざるを得なかった。これらを受けて、2020年夏からMOMO全体を改良するため、「低価格で、量産可能」というMOMOのコンセプトは維持しつつ、能力増強や打上げの信頼性向上に取り組んできた。
また、MOMOの量産化・高頻度な打上げに向けた改良にも取り組み、今回の打ち上げ成功でロケットの量産化・商業化に向け大きく前進したという。
MOMO7号機の機体名である「ねじのロケット」は、「ネーミングライツ(機体命名権)」をサンコーインダストリー株式会社が取得し命名したもの。同社は創業昭和21年、大阪に本社を置くねじを中心とした120万の締結部品を取り扱うねじの総合商社だ。MOMOにはこれまでも同社のねじが使われており、「MOMO」の1機体で使われている約2500本のねじのうち半分以上が同社のねじだという。また、ロケットの先端であるフェアリング部分には、ねじのドリル部分をイメージしたデザインが採用された。
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画像提供:インターステラテクノロジズ
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