高エネルギー宇宙線観測で、暗黒物質(ダークマター)の正体に迫る
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と早稲田大学は、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」モジュールの船外実験プラットフォームに「高エネルギー電子、ガンマ線観測装置(CALET)」を設置し、宇宙を飛び交う高エネルギーの宇宙線(電子やガンマ線、陽子・原子核成分)のエネルギー量とその種類や飛来方向の高精度測定を、世界に先駆けて開始したと22日に発表した。
CALETを用いた観測で、
(1)高エネルギー宇宙線の起源と加速のしくみ
(2)宇宙線が銀河内を伝わるしくみ
(3)暗黒物質(ダークマター)の正体
などの「宇宙の謎」の解明を目指す。
CALETは、今年8月に「こうのとり」5号機で種子島宇宙センターから「きぼう」に運び込まれた。その後、観測機器の初期検証作業を終え、現在は検出データの較正・検証作業を進めている。この初期検証段階で、すでにテラ電子ボルト(TeV:1兆電子ボルト)領域の電子候補が観測されている。
CALETのデータの較正・検証作業後、定常観測に移行し、2~5年にわたる観測で高エネルギー宇宙現象の解明を目指す。
画像提供:JAXA