未来技術遺産、磁気録音テープなど新たに24件登録 科博

国立科学博物館は1日、2021年度の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」として、日本初の磁気録音テープ「ソニ・テープシリーズ」など24件を登録した。同館ではパネル展示を7日から26日まで実施する。

未来技術遺産登録は、生活および社会に顕著な影響を与えた技術に対して認定されるもの。日本の産業技術や科学技術の発展を示す資料や、国民生活・経済・社会・文化のあり方に顕著な影響を与えた資料の保存活用を図るために、国立科学博物館が2008年に発足させた。今回の登録によって合計325件の登録となった。

今回登録された「ソニ・テープシリーズ」は、東京通信工業(現:ソニーグループ)により1950年に発売された日本初の磁気録音テープ。家庭用として実用化されたが業務用にも使用されて広く普及し、その後ソニーが商品化した「ウォークマン」などのパーソナルデバイスにも応用され、生活スタイルに影響を与えた。磁気テープは社会基盤を支える応用につながる技術の始まりとして重要とされる。

「コンピュータ用塗布型磁気テープ 富士フイルムDLT tape Ⅳ」は1994年が初出。コンピュータの普及に伴い記録メディアの高密度化が急務となった。従来の塗布型テープの磁性層の1/10である0.3μの磁性層を実現した。安価に市場に提供して、コンピュータ時代に磁気テープが大きな役割を果たせるようになった。この技術は他のメーカも追従して現在も踏襲されている。

「That’s CD-R」は、太陽誘電が1989年に書き込みができる追記型メディアとして発売した世界初のCR-R。市販のプレイヤーやCD-ROMドライブで再生可能で、この発明によって実現された「既存機器との互換性」は高く評価された。この技術はDVD±Rにも引き継がれ、これらの商品群を世界で最も普及した光記録メディアに発展させた原点となる開発として重要だ。

画像提供:国立科学博物館