ノーベル賞前哨戦、クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞を新たに日本人3名が受賞
米国に拠点を置く学術情報サービス会社クラリベイト・アナリティクスは22日、2021年のクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞を発表、日本人3名を含む16名が受賞した。日本からの受賞者は医学・生理学部門で2名、化学部門で1名。
クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞は、学術論文の引用データ分析からノーベル賞クラスと目される研究者を選出し、その卓越した研究業績を讃える目的で行われている。ノーベル賞のうち4賞(医学・生理学、物理学、化学、経済学)と同カテゴリーで構成され、2002年からノーベル賞直前の9月に発表するようになり、今年で20回目(前身のトムソン・ロイター引用栄誉賞を含む)。昨年までに引用栄誉賞を受賞したうち59人が実際にノーベル賞を受賞していることから、ノーベル賞前哨戦とも言われている。
今回同賞を受賞した日本人は3名。医学・生理学部門では岸本忠三 大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授と、平野俊夫 量子科学技術研究開発機構理事長、大阪大学名誉教授が受賞した。授賞理由はインターロイキン-6(IL-6)の発見とその生理的・病理的作用機序の解明により、医薬品の開発に貢献した功績。
IL-6は免疫システムの細胞から分泌されて特定の細胞に情報伝達をするサイトカインの一種。IL-6は生体の安定性の維持に重要だが、長期にわたって過剰に産出し続けると関節リウマチ、キャッスルマン病などの様々な病態を引き起こす。両氏の研究によりIL-6の作用が明らかになり、それに由来する炎症反応を抑える薬としてトシリズマブが開発された。
化学部門では澤本光男 中部大学先端研究センター教授、京都大学名誉教授が受賞。授賞理由は金属触媒を用いたリビングラジカル重合の発見と開発。リビングラジカル重合は複数の分子を思い通りの構造や機能を持つように精密につなぎ合わせる合成法。異なる性質の分子をつなげることで新たな機能や性質を持つ材料の開発に道を開いた。
(写真はイメージ)
ノーベル賞の前哨戦で日本人2名受賞 クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞