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西鉄天神大牟田線「サイクルトレイン」実証実験レポート

10月23日から西日本鉄道の西鉄天神大牟田線で、「サイクルトレイン」の実証実験が行われている。自転車を電車内に持ち込むには、一般的には、自転車を解体した状態あるいは折りたたんだ状態で、「輪行袋」と呼ばれる自転車専用の収納袋に入れる必要がある。一方、サイクルトレインは電車内に自転車をそのまま持ち込めるサービスで、より気軽に利用できることからサイクルツーリズム促進の一助になることが期待されている。

記者の居住する福岡県を走る西鉄天神大牟田線は、福岡市天神から大牟田までの路線距離約75 kmの福岡県を南北に結ぶ路線。福岡市への通勤・通学に利用されるが、沿線には太宰府天満宮、九州国立博物館や旧柳川藩の城下町など観光地もある。今回の実証実験の対象は、土日祝日の西鉄福岡(天神)発6:23〜16:00、大牟田発10:23〜21:24の特急電車で、自転車の持ち込み可能車両は大牟田側の一両のみとなっている。実証実験期間中は自転車の持込料金は無料で、利用者は自身の乗車運賃のみで利用することができる。

自転車は普段使いにとどまるがせっかくの機会なのでと思い立った記者が、自ら実証実験に参加した体験をレポートする。

実際に乗ってみた

改札口へはエレベーターまたは階段を利用して向かう。有人改札口では、駅員から車内で自転車を手すりなどに固定する際に使用する固定ベルトを受け取ることができる。固定ベルトは降車駅の改札口で返却する仕組みとなっていた。各駅構内の改札口から車両の停車位置までのガイドは、サイクルトレイン利用者向けのホームページやパンフレットにまとめられている。

普段から利用している駅でも、自転車を引いて改札口を通りホームに降り立つのは、ずいぶんと新鮮だった。他の利用客から不思議そうな視線を向けられながらホームで電車を待つことになったが、サイクルトレインの実証実験中であるというアナウンスによって状況を理解してもらえた。記者が乗った際は、他に自転車を持ち込んでいる乗客はおらず、車両の混雑や混乱なく利用することができた。

西鉄二日市駅で降車し、太宰府天満宮までを自転車で移動した。この日は天候にも恵まれ、久々に賑わいを取り戻しつつある参道を見ながら、この1年半以上続く長いトンネルの出口が近いことを願うばかりだった。

実証期間は12月12日まで。

参道を通り、太宰府天満宮の境内の前にある大きな鳥居。
心字池(しんじいけ)に架かる御神橋。3つの橋は、過去・現在・未来をあらわしているとされる。