津波の威力を伝える震災遺構 仙台市荒浜地区住宅基礎
2011年の東日本大震災の震災遺構として保存・整備されている地区「仙台市荒浜地区住宅基礎」を訪れた。荒浜地区は仙台市の中心部から東に約10km離れた深沼海水浴場のすぐそばにある。堤防が近くにあり、海の音が聞こえてくるほどの近さだ。
荒浜地区は当時約800世帯、2200人の人々が暮らしていたが、津波によって街は一瞬で失われ190名以上の方が犠牲になった。今は津波の脅威や教訓を後世に伝えることを目的とし、残された住宅基礎や地形の一部が保存されている。
土が深くえぐられた跡からは、津波がただ土地の表面を流れていくだけではなく、盛り上がった場所を乗り越えたあと地面を深く削っていくということがはっきりとわかる。また、コンクリートの住宅土台の下の土が削られ土台が傾いてしまった様子や、家の壁も天井もはぎ取られて基礎部分だけが残っている光景を見ると、津波の威力を思い知らされる。深沼海水浴場は現在は閉鎖されているが、ビーチテニスや釣りをする人が時折見かけられ穏やかな様子だった。