宇宙ごみ、11月13日に地球に再突入

欧州宇宙機関(ESA)は10月23日、廃棄ロケットの残骸と思われる物体が11月に地球に再突入し、これを「データ収集の絶好の機会」と考えていると発表した。この再突入で、地上の人間に危険を及ぼす可能性は非常に少ないとみている。

再突入時のデータは、軌道モデルや再突入予測ツールの改善につながり、小惑星などの地球近傍天体(NEO)や人工衛星などの軌道が地球大気によって徐々に低下する現象を研究するのにも役立つ。

この物体は「WT1190F」と呼ばれ、米アリゾナ大学のカタリナ・スカイサーベイによって2013年に発見された。それ以来、同チームによって何度か観測され、小惑星センター(MPC)で情報共有されてきた。

ESAでNEOについて担当しているデトレフ・コスチュニー氏は、「この物体について観測データから推定すると、一般的な小惑星よりもはるかに密度が小さい。中が空洞の物体と考えられ、打ち上げロケットの上段部分かその一部ではないか」と述べた。

一般的なスペースデブリ(宇宙ごみ)の場合、再突入の場所や時期を予測するのは難しい。しかし、この物体の軌道はNEOの軌道と多くの類似点があったため、NEO監視システムで発見され、ESAの専門家によってかなり正確に場所と時期を予測することができた。

この物体は、11月13日の日本時間で午後3時19分頃に、地球の大気圏に再突入する見通し。直径2m程度と非常に小さいため、大気圏内で完全に燃え尽きるか、一部が燃え残ったとしても、スリランカ南岸から約100km沖に落ちると予測される。地上に被害を引き起こすほどの質量はないが、昼間でも数秒の間、かなり明るくなるだろう。

この物体に関してできるだけ多くのデータを収集するため、観測キャンペーンも実施される。

画像提供:ESA/B. Bolin, R. Jedicke, M. Micheli