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市場価値アップにつながる「リスキリング」とは?【ニュースのコトバ解説】

官民でデジタル化やDXが推進される中、企業で取り組みが進んでいるのが「リスキリング(Reskilling)」だ。

リクルートワークス研究所によると、リスキリングは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されている。

リスキリングという言葉が世界で注目されるようになったのは、2020年の世界経済フォーラムの年次会議(通称ダボス会議)だ。ダボス会議では、第4次産業革命に伴う技術の変化に対応すべく、社会全体でリスキリングに取り組む必要性について言及し、「2030年までに全世界10億人をリスキリングする」という「リスキリング革命(Reskilling Revolution)」を発表している。

「リカレント」との違い

社会人が大学などで学び直す「リカレント教育」と似ているが、リカレント教育は教育を行う期間と就労する期間を繰り返すことであり、新しいことを学ぶために「職を離れる」ことが前提とされている。一方、リスキリングは企業に在籍し、働きながらスキルの習得を目指すことを指している点が異なっている。

また、リスキリングに類似の言葉として「アップスキリング」などもあるが、これは現状の業務の延長線上にある能力を向上させることなので、先の2つとも分けて捉えておきたい。

リスキリングは市場価値アップにつながる

転職サイト「ビズリーチ」を運営するビズリーチが2021年11月に発表した「リスキリングに関する調査レポート」によると、約5割のビジネスパーソンがすでにリスキリングに取り組んでいると回答したという。

ビズリーチ会員(ビジネスパーソン)970人を対象に行ったアンケートでは、「現在リスキリングに取り組んでいますか?」という問いに対し、「取り組んでいる」が54.8%となった。その内訳は、40.3%が「個人で取り組んでいる」、次に「勤め先を通じて取り組んでいる」が9.4%、「勤め先でも個人でも取り組んでいる」が5.2%となった。

また、経営層・人事担当者245人を対象に、「年齢にかかわらずリスキリングに積極的に取り組むことは、市場価値を上げることにつながると思いますか?」という質問をしたところ、「そう思う」が50.6%、「どちらかといえば、そう思う」が43.7%となり、全体で94.3%が「リスキリングは市場価値アップにつながる」と回答した。

これらの調査結果から、同社では、リスキリングに取り組む企業やビジネスパーソンは今後さらに増えていくことが予測されるとしている。

政府も支援に動き出しており、岸田文雄首相は10月3日の所信表明演説で、個人のリスキリング支援に5年で1兆円を投入する考えを示している。

この先、企業側のリスキリング環境が徐々に整っていくからこそ、学習者側もリスキリングを単なる「学び直し」だけではなく、より主体的なキャリア形成を目的に行うものとして捉えて取り組んでいくべきだろう。

(写真はイメージ)