注目のアーバンスポーツ「パルクール」とは?【ニュースのコトバ解説】
10月14日~16日で初の世界選手権が日本で開催された「パルクール」に注目が集まっています。パルクールはオリンピックの新競技候補にも挙がるなど、ヨーロッパを中心に盛り上がりを見せている「アーバンスポーツ※」の1つです。
心身を鍛えるトレーニング
パルクールとは、走る・跳ぶ・登るといった移動動作を中心に心身を鍛えるトレーニング方法です。それ以外にもスポーツ、パフォーマンス、アート、ライフスタイルや哲学など、パルクールの捉え方はさまざまです。発祥はフランスで、軍事訓練として障害物コースで行われたトレーニングがベースとなっています。
パルクールを実践する人を「トレーサー」と呼び、彼らはパルクールを通じて自己の体力やバランス、空間認識力、俊敏性などを鍛えます。ビルの屋上から屋上に飛び移る動画などもCMやドラマなどで見かけるようになり、「危険に挑むもの」という印象を受けることもありますがそうではなく、トレーニングの中で自分の身体的、精神的な限界を理解したうえでできることを行うのがパルクールです。トレーサーはパルクールの実践を続けることで、どのような環境でも自由に自分の体を操り動けるようになり、限界値を伸ばしていくことができます。
このように、パルクールは移動動作の上達のみを追求するスポーツではなく、自分の限界を克服するという性質があることから、世界各国で年齢を問わず行われており、学校教育での体育プログラム、シニア向けのフィットネスなどとしても用いられています。
スポーツとしてのパルクール
パルクールは自己の鍛錬として用いられ、他者と競う要素はないものの、パルクール人口の増加と共にスポーツとして取り扱われることが多くなりました。主にスピードランとフリースタイルの2つの部門で競技が行われています。スピードランは特定のコースに設置された障害物を越え、いかに早くゴールできるかを競う競技です。斜面や台、鉄棒など大会によって障害物は変わります。フリースタイルは障害物を使ってパルクールの動き(演技)を行い、審判員により審査される得点を競う競技です。
スピードランでは日本選手権で2連覇している泉ひかり選手や、第3回日本選手権で初優勝した大西隼人選手が知られています。フリースタイルでは、ドイツで行われた世界大会で日本人男子初優勝を飾っている朝倉聖選手や、日本大会3連覇中の永井音寧選手が注目されています。今大会では、フリースタイルの山本華歩選手が銀メダルを獲得しました。
スポーツクライミングやパルクールなど、他人と競うのではなく自分との戦いにフォーカスをあてたスポーツが近年広がりつつあります。
※都市を舞台に繰り広げられるスポーツ。スケートボード、スポーツクライミングなどが挙げられる。
参考:日本パルクール協会ホームページ
(写真はイメージ)