3月が旬の「ホタルイカ」 兵庫と富山で地域ごとに特徴も
富山湾では3月1日からホタルイカ漁が解禁になった。旬のホタルイカを味わおうと、この時期を心待ちにしている人も多いのではないだろうか。
漁獲量は兵庫県が日本一
ホタルイカというと富山県を想像する人も多いかもしれないが、漁獲量でいうと日本一は兵庫県だ。ただ、兵庫県でも瀬戸内海側で獲れるわけではなく、日本海側の水深200mの深海で底曳網によって獲るのだが、有名な港は浜坂港、香住港、柴山港、津居山港など但馬地域に集中している。兵庫県でのホタルイカ漁の始まりは富山県など他地域より少し早く1月下旬頃からで、3〜4月に最盛期を迎えて5月まで続く。
兵庫県の浜坂漁業協同組合では、獲ったばかりのホタルイカを生のまま船上ですばやくパッキングした「浜ほたる」というオリジナル商品を開発している。通常のようにボイルして流通させるものとは異なり、獲れたての鮮度を保った状態で消費者のもとに届く。他にも、次世代の凍結技術も取り入れ、刺身でも安全に食べられるホタルイカの新しい商品も開発している。
富山湾のホタルイカの群れは天然記念物にも
一方、富山県では雌のホタルイカが産卵のため富山湾の岸辺近くまで上がってきた際、定置網で獲る漁法が主流なので、兵庫県の漁の仕方とは異なる。この定置網漁は魚体が傷つきにくく、さらに富山県で漁獲される3~5月は産卵期を迎えているため、他県で漁獲されるより大きいのも特徴だ。
富山湾では産卵のため海岸近くまで数百万匹のホタルイカが押し寄せて、青色で水面が光輝く光景が見られる。これは富山湾が海岸から急に深くなる独特の地形を持つため、ホタルイカが一斉に水面に上がってくるので起こる他の地域では見られない現象であり、この光景は「ホタルイカ群遊海面」として国の天然記念物に指定されている。産卵した後、浅瀬に打ち上げられて一斉に発光する「身投げ」という現象も神秘的であり、見学ツアーに組まれている。
生や干しなど、食べ方いろいろ
ホタルイカは刺身やボイル、沖漬けなど様々な食べ方がある。やはり旬の時期には刺身など新鮮なものを食べたいが、沖漬けや素干しなど保存性の良いものだと旬の季節以外でも購入できるので、いろいろな味を楽しめる。