森林環境教育コンテンツ

5/4はみどりの日、日本の森林について考える

5月4日は「みどりの日」。祝日法によると、「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心を育む日」とされている。毎年この日には内閣府の主催する「みどりの式典」が行われたり、東京都内を中心に公園・施設が無料で公開されたりしている。

自然環境に関わる話題として、2024年度から導入される「森林環境税」をご存じだろうか。森林環境税は、すべての納税者を対象に1人あたり年額1000円が徴収される国税で、集められた税金は日本の森林の管理に使われる。日本の豊かな森林資源を国民一人ひとりが守ることを趣旨とする森林環境税について、仕組みと導入の経緯を見ていきたい。

森林整備に関する法整備

森林環境税および森林環境譲与税に関わる法律として、2019年に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立した。これにより、市町村と都道府県に対して森林環境譲与税が譲与されてきた。2024年からは森林環境税が施行され、国民から徴収された税金が都道府県や市町村に森林環境譲与税として譲与される。

森林環境譲与税の使用用途は、市町村については「森林の整備に関する施策」および人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発などを含む「森林の整備の促進に関する施策」、都道府県については「森林整備を実施する市町村の支援などに関する費用」と決められている。森林環境譲与税を活用した取り組みとその結果は、インターネット等で公表することが定められている。

5/4はみどりの日、日本の森林について考える
林野庁HPより

森林の管理はなぜ必要なのか?

森林は二酸化炭素を吸収し固定することで地球温暖化防止へ寄与することが注目されている。ただずっと同じ速度で二酸化炭素を吸収しているわけではなく、多くの二酸化炭素を吸収するのは成長が早い若い時期であって、植えてから40~50年程度経過して大きくなった木は二酸化炭素を吸収する速度が下がっていくといわれている。現在の日本の人工林は高度成長期に植えられた木材として伐採の適齢期を迎え、成長速度が緩やかになり、二酸化炭素の吸収スピードも緩やかになった木々が多く存在している。そのため、伐採適齢期の森林は伐採して木材として活用し、伐採した場所には新しい木を植えることが、二酸化炭素の吸収スピードを上げることにつながり、有効な地球温暖化防止策になると考えられる。

しかし、日本の森林の所有者を見てみると、国が管理している国有林が31%、都道府県や市町村が管理している公有林が12%で、残りの58%は個人や企業が所有する私有林となっている。公有林と私有林を合わせた全体の70%を占める民有林が小規模で分散していること、また個人の場合、所有権の相続が適切に行われず、所有者不明の森林が増えていることが、森林の「伐って植える」という循環を妨げており、豊かな日本の森林資源を使えずにいる現状を招いている。

森林資源活用のために

以上のような問題を解決するため、2018年に「森林経営管理法(森林経営管理制度)」が成立した。森林経営管理法では、これまで森林所有者が経営管理を自ら行うか、林業経営者に委託していた方法に加えて、森林所有者が経営管理を市町村に委託することができ、市町村によって林業経営に適した森林であると判断された場合は林業経営者に経営管理が再委託される。さらに、所有者不明の森林に関しては所有者の探索を行い、見つからない場合は経営管理権を市町村に設定することもできる。これによって、自然条件などがよく林業経営に適した人工林を集約でき、林業的利用を促進できる。

5/4はみどりの日、日本の森林について考える
林野庁HPより

大事な局面を迎える日本の森林

現在の日本は国土のおよそ70%が森林であるものの、その大半が伐採適齢期を迎えているという点で、地球温暖化防止の面でも、木材の供給源という面でも大事な局面を迎えている。森林資源は植えてすぐに利用できるわけではなく、現在の施策が、50年後や100年後の自然環境のあり方にもつながっていく。日本の豊かな森林をどのように活用し、地球の自然環境をどのように守っていくのか、みどりの日である今日、現在と未来の日本の森林について考えてみるのもよいだろう。

(冒頭の写真はイメージ)