海外では一般的でも日本ではあまり知られていないもの、というのは各分野で数多くありますが、今回紹介するのは欧米では夏が旬の果物、「蟠桃」です。
蟠桃は中国原産の桃の品種で、平たい扁平形をしていて、真ん中が少し凹んでいるのが大きな特徴。蟠桃は別名「座禅桃」とも呼ばれていて、中国では古くから1つ食べると数千年寿命が延びる、不老不死の「仙果」とも言われてきました。『西遊記』に登場する孫悟空が食べた桃は、この蟠桃だとされています。
欧州ではドーナッツ・ピーチ（Donut peach）、フラットピーチ（Flat peach）と呼ばれていて、夏（6〜9月）の時期になるとスーパーやファーマーズマーケットなど各所に並び始めます。
フラットピーチを見かけると、「夏が来た！」と感じるような、夏の定番果物です。
夏の時期は、街中にある小さな八百屋の店頭にも並んでいる
日本でも福島県や山形県などで栽培されていますが、収穫量が多くないことから高級フルーツとされています。一方、欧州では夏の時期にはお手頃価格で購入することができます。もちろん店舗によって異なりますが、7月、イギリスのスーパーでは5、6つ入って1ポンド（約181円※）くらいから販売していました。
蟠桃／フラットピーチの食べ方は、一般的な日本の丸い形をした桃と同様で、熟すと皮は指でするりと剥くことができます。中心部の種はとても小さく、熟した果肉からは甘い、やさしい香りがしてきます。
果肉をそのまま生で食べることはもちろん、加熱してコンポートにしたり、料理に使ったりと使い勝手も良く、欧州の短い夏の食卓に彩りを添えてくれる果物です。
