健康促進効果で注目のブロッコリースプラウト、その鍵は超硫黄分子か 大阪公立大
大阪公立大学の研究グループは、ブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトに、感染防御や免疫応答など、人体のさまざまな生命現象に重要な機能を果たすとされる超硫黄分子が豊富に含まれることを明らかにしたと発表した。超硫黄分子はがんや神経変性疾患、脳卒中、炎症などに対する新たな予防・治療薬としての可能性が期待されており、近年では新型コロナウイルスやインフルエンザに対しても感染防御能を有することが明らかになっている。この成果は、国際学術誌「Redox Biology」に掲載された。
ブロッコリーやキャベツなど、アブラナ科の野菜に微量に含まれるスルフォラファンという成分は、体内に取り込まれた化学物質の解毒や抗酸化力を高め、がんを予防する効果や肥満を改善する効果を持つことが知られている。なかでもブロッコリースプラウトは、成熟ブロッコリーの数十倍もスルフォラファンを含むことから、機能性食品として近年注目されている。
また、超硫黄分子は身体の中で酵素の働きによって産生され、ミトコンドリアエネルギーの産生や感染防御・免疫応答などさまざまな生命現象に重要な機能を果たす。超硫黄分子の生合成に必要な原料は食事により摂取されるが、研究グループのこれまでの研究により、タマネギやニンニク、ブロッコリーやコマツナなどの野菜に超硫黄分子が多く含まれることが明らかになっている。
今回、同グループは、ブロッコリースプラウトの発芽・成長過程における超硫黄含有量の変化の詳細分析を行った。その結果、発芽・成長過程においてブロッコリースプラウト中の超硫黄分子量が劇的に増加することを発見した。
さらに、質量分析装置を用いてブロッコリースプラウト中の超硫黄分子を網羅的に解析したところ、これまでにわかっていなかった新たなスルフォラファン誘導体を超硫黄化分子の中から見出した。この新規の超硫黄化スルフォラファン誘導体は、スルフォラファンよりも高い抗酸化活性を示すことが確認されている。
これらの結果から、ブロッコリースプラウト内に豊富に含まれる超硫黄分子が、ブロッコリースプラウトがもつ健康促進作用に寄与している可能性が示された。同グループは今後ブロッコリースプラウトに含まれる超硫黄分子の同定を行い、その薬理活性を解析することで、機能性食品、健康サプリメントの開発につなげることを目指すとしている。
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